すべてが猫になる

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探偵AIのリアル・ディープラーニング   (ねこ4匹)

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早坂吝著。新潮文庫nex

 

人工知能の研究者だった父が、密室で謎の死を遂げた。「探偵」と「犯人」、双子のAIを遺して―。高校生の息子・輔は、探偵のAI・相以とともに父を殺した真犯人を追う過程で、犯人のAI・以相を奪い悪用するテロリスト集団「オクタコア」の陰謀を知る。次々と襲いかかる難事件、母の死の真相、そして以相の真の目的とは!?大胆な奇想と緻密なロジックが発火する新感覚・推理バトル。(裏表紙引用)

 


結婚相談所の『相』に、条件は年収一千万円以上の『以』ってなあ^^;

 

早坂さんにハズレなしだなあ~。今度は双子の人工知能ですか。キャラ的にはラノベの女子高生ノリみたいな感じを想像してもらえれば。主人公の輔(たすく)との掛け合いが漫才のようで面白い。ディープラーニングってプロファイリングのコンピュータ版みたいなもんかな?人工知能の生みの親(輔の父)が死んでしまったことから輔とAI(相以)は様々な事件に巻き込まれる。しかも、双子でライバルの以相(いあ)がテロリスト集団とつるんじゃったからもう大変。

 

輔はまあどこにでもいる普通の男子という印象。AIは事件を重ねるごとに人間の感情を学んでいくところが良いな。フレーム問題でめちゃくちゃな推理をする時代も味があったけど。双子の以相はあまり好きじゃなかった。テロリスト集団の内部でも色々歪みが出てくるし、刑事の左虎や右龍も胡散臭いし、リーダーの正体はビックリだし、色々ぶっ込み過ぎてるあたりシリーズ第一弾って感じするな。

 

ミステリー的にも物語の構成も凄くはないので、推理バトルやキャラクターを楽しむ感じ。フレーム問題や後期クイーン問題、シンボルグラウンディング問題などなど(なんじゃそりゃと思うかもしれないが、読めば案外分かります)本格ミステリに興味がないとクドくて辛いかも。読者ターゲットをかなり絞っている感じだけど、早坂ファンなら外さないと思う。それより最近、井上真偽さんと早坂さんって同じ人なんじゃないかと疑い始めているわたし。