すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ナイルパーチの女子会 (ねこ3.5匹)

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柚木麻子著。文春文庫。


商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。一方、翔子も実家に問題を抱え―。友情とは何かを描いた問題作。第28回山本周五郎賞&第3回高校生直木賞を受賞!(裏表紙引用)

高校生直木賞ってなんだろ?

女の友情を描いた物語だということでワクワクして読み始めたが、これはガッカリ。柚木作品特有の、「わかるわかる、こういう女いるよね~」みたいな共感が全くなかった。他人と距離が掴めず女友達が出来ない女性、というのはリアルに存在するとは思うが、その人らだって別に異常だからじゃないでしょ~。

「デキるOL」栄利子には友だちがいない。いたこともない。だけど誰よりも女友達を欲していて、たまたま見つけた主婦ブロガー・翔子に執着する。数回会っただけで更新止まったから家まで来るとか、飲食店で大声で相手の欠点をあげつらって攻撃するとか果ては恐喝して旅行に付き合わせるとか・・・もう読んでて有り得なさすぎてウンザリ。やり過ぎるとつまんないんだよね、こういうの。こんなやつ絶対いないもん。

対する翔子のほうは、まあリアルにいるかもなレベル。ぐうたら主婦ブログで人気って設定なんだけど、かなり疑問だったなあ。このブログ、いいか?手抜きや緩さを肯定する、というスタンスはいいと思うけど・・・家事をやらないというのは・・・ゆとりって何もしないことじゃないでしょ。まあ気づいたようだからいいけど(上から)。

って、結構すごいヒロイン2名の物語なんだけど、脇役の方がすごかったっていう(笑)。栄利子の会社の派遣OL、真織の変貌ぶりに恐怖・・・いやいや、もうホラーだからこれ。これこそこんなやつおらんやろ~!

かなり歪な友情物語(なのか?)で、女の友情に対する結論、みたいなものもなんだか腑に落ちない。いや、そういう人がほとんどではないだろうか。「友情とは!」って物事を大きく考えすぎてるのに「かつての親友と久しぶりに会っても次の約束はない、そんなものだ」って。それ人によるだろう・・・。100か0じゃないから、人間関係って。

創作と作者の中身は切り離されていることを願う。