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回想のビュイック8/From a Buick 8  (ねこ3.2匹)

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少年は父を亡くした。ペンシルヴェニア州の田舎町で堅実に警官を務めていた父を、突然の悲劇で。悲しみに打ちひしがれた少年に笑顔が戻ったかに見えたその日、父の元同僚たちは信じがたい話を語り始める。署の外には決して洩らせぬ秘密、倉庫に眠る謎の車ビュイック8(エイト)の存在と、息子の知らぬ父の意外な過去を…。練達の語り部キングが冒頭から引きずり込む、絶妙の開幕。(上巻裏表紙引用)

 


キングの未読本の中でもあまり今まで食指が動かなかった作品をついに読了。まあ、予想通りというか期待のまんまというか。無生物に生命を与えて恐怖感を演出するという実にキングらしい作品。しかし車ネタ多いなあ。

 

この作品はタイトルの通り「回想」がメイン。というより、警察官たちが主人公の少年に亡くなった父親の話を語って聴かせるというもの。少年の父親は恐ろしい死に方をしたのだが、父親のことを知ろうとする少年にどこまで話していいものか葛藤する警官たちに共感。話のメインはガレージで眠るビュイックの恐ろしさなんだけど。異常に大きいハンドル、泥はねひとつなくナンバープレートすらない、そもそもエンジンがない。「光震」と呼ばれる現象により不可思議なことばかり起こる。人間が行方不明になる、光る、ぐらいまではいけても車が「出産」となるとなあ。。。おえおえ。

 

しかし起こることといえば過去のことばかりだし、車が外に出て何かをするとか新たな事件が現在に発生するとかもないし、警官たちの身の上を掘り下げるわけでもないので少々退屈。下巻で語り手がやっとコロコロ変わるのでマシかなあ。映像化すればそこそこ迫力のあるホラーなんだろうけど。少年の成長物語として読む分には結構いいお話。