すべてが猫になる

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キャプテンサンダーボルト  (ねこ3.7匹)

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伊坂幸太郎阿部和重著。文春文庫。

 

ゴシキヌマの水をよこせ―突如として謎の外国人テロリストに狙われることになった相葉時之は、逃げ込んだ映画館で旧友・井ノ原悠と再会。小学校時代の悪友コンビの決死の逃亡が始まる。破壊をまき散らしながら追ってくる敵が狙う水の正体は。話題の一気読みエンタメ大作、遂に文庫化。本編開始一時間前を描く掌編も収録! (上巻裏表紙引用)

 

 

伊坂さんと阿部さんの共著。阿部さんの本は未読なのでどういう作風の方なのか分からないまま読み始めた。共著ってあまり食指が動かないのだけど、読んでみたらもうほとんど伊坂幸太郎の世界。正直、阿部さんらしさというのが見つけられないままだった。

 

ストーリーは小学生時代に同じ野球チームに所属していた相葉と井ノ原(なぜジャニーズ^^;あだ名イノッチだし。確かに世の井ノ原さんはイノッチと呼ばれている気もするけど)。リーダー格だが生来のお調子者・相葉と真面目な一般的男性井ノ原のデコボココンビが織り成す逃亡劇。珍しく群像劇にはなっていない。

 

出てくる敵キャラ・メンターがマンガみたいに無敵で凶暴でミステリアス。日本語が分からないのでスマホの翻訳機で相葉たちと話すというのも現代的だし、武器である体内に取り込ませる毒薬というのも怖い。無関係の人々殺し過ぎだし。子どもの頃に主演レッドのわいせつ事件でお蔵入りとなった「鳴神戦隊サンダーボルト」が話に深く関わってきて、一見関係ない要素がどこで繋がるかというのも読みどころ。
村上病の秘密がとにかく恐ろしくて、こりゃ絵空事ではないなあと。

 

いつも通り面白かったが、ラストが全員うまく行き過ぎかな。伊坂作品であまり「偶然」は乱用して欲しくなかった。やはり単体作品のほうがいいなあ。あと、ボーナストラック(上巻に収録)がなかなか良かった。