すべてが猫になる

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断頭島 ギロチンアイランド/The Lamplighters (ねこ3.7匹)

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フレイザー・リー著。野中誠吾訳。竹書房文庫。

 

『解剖×拷問+地獄見ろ! 人間がバラッバラだ! 』
 平山夢明 唖然、悶絶、絶叫! 
全米ホラー作家協会ブラム・ストーカー賞ノミネート作品! 

「これは通常の仕事ではありません。地中海の島で贅沢に暮らしてほしいと言われたら、問題はありますか?」
 家賃が払えず、アパートメントを追い出されたマーラは最高の仕事を見つけた――。億万長者が所有する島の管理人“点灯員(ランプライター)"だ。
 簡単な仕事に破格の給料。しかしその島は、生きて出た者はいない恐ろしい場所だった……。
 外界と隔てられた孤島で巻き起こる、全米震撼のホラー! (裏表紙引用)

 


タイトルと帯に惹かれて読んでみた作品。

 

道楽のような仕事内容で高額、そんな眉唾ものの話を真に受けた若者たちが、世間から途絶された孤島で殺人鬼に追われ――みたいなお話かと思っていた。そしてその拷問方法などが残酷だったり悲惨だったりするやつかなと。途中までは完全にその通りのお話で、胡散臭い雇用主と正体不明の殺人鬼が恐怖を引き立て、おかしいことに気付いたヒロインとその仲間が逃亡、そして――。

 

やっている事が強烈な割に殺人鬼の存在感が薄いのが残念なのと、犠牲者である”点灯員”たちが絵に描いたような「ホラー映画で最初に殺される若者たち」を地で行っているので応援もできず、つまりはあまり新鮮味や刺激がなくダラけてくる。そもそもどうしてハッキングが出来るようなレベルの人間を採用したのかとか、報酬についての実態を新人にバラされないと思わないのか?とか疑問点も多く。と、いうように平山さん推薦の割にたいしたことなさそうだな、とナメて読んでいたらこれがとんでもない間違いだった。終盤の約100ページの怒涛の展開は確かに誰にも予想出来ない。スプラッターというよりエログロ。ヒロインを襲う「見た目は子ども、中身は大人(コナンではない)」の造形は神がかっているし怪物が愛でる陳列物も悪趣味グランプリを見ているような充実っぷり。物語的には破綻しているが、それさえも計算かと錯覚しそう。

 

途中までは普通だけど最後の最後で世界観が爆発する、こういうのって1番評価が難しいんだよなあ。ジャンル的な好き嫌いについては、そもそもそういうものが苦手が人は絶対この本手に取らないと思うし。平均点=平凡な作品、というわけではないからね。

 

ちなみにこの邦題は内容と全く合っていない。