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アトランティスのこころ/Hearts in Atlantis (ねこ3.5匹)

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初めて彼女にキスした少年のあの夏、それ以上のキスが二度と訪れはしないことを、ぼくは知らなかった…。1960年、11歳のボビーとキャロル、サリー・ジョンは仲良し3人組だった。だが、ひなびた街に不思議な老人が現れてから、彼らの道はすれ違い始める。少年と少女を、母を、街を、悪意が覆っていく―切ない記憶へと変わってしまう少年の夏を描いた、すべての予兆をはらむ美しき開幕。(上巻裏表紙引用)

 


な、長かった…。映画化もされた、キングのハートフル(?)ファンタジー大長編。な、なんと、くだんのダーク・タワーやバックマン名義「レギュレイターズ(未読)」と繋がりがあった(゚д゚)。あと、SF名画「光る眼」や名著「蠅の王」のあらすじが徹頭徹尾全て割られているのでご注意を。

 

主人公は母子家庭で暮らす11歳の少年・ボビー。親友のサリー・ジョンやガールフレンドのキャロルとの3人組でいつも一緒に遊び、母を想い、初恋に胸を震わせ、傷つきやすく寂しがり屋な少年の心理が丁寧に描かれている。住居の上に引っ越してきた謎の老人・テッドと心を通わせながら、友人や母親との関係が徐々に変化して行く。この人の過去や心を読む老人との触れ合いがとても暖かくて和む。母親は少し精神面が不安定だったりしてトラブルも起きるが、不良少年たちとの諍いやら不穏な雰囲気漂う「行ってはいけない場所」での体験などなどが、ボビーを大人に変えていく。ホロリと切ないテッドとの別れに、ボビーは少年時代との別れを告げる。。。

 

と、上巻だけでもう1つの作品として完成していた感があるのだが。下巻から、「ハーツ」というカードゲームにのめり込む大学生・ピートが語り手になった(誰やねん感が凄い(゚д゚))。。。60年代のアメリカの、学生運動や戦争などのうねり。おい、ボビーどこ行った?上巻との関連がまるでないわけではないが、もう全く別のお話となってしまう。。テンションだだ下がり。お、面白くなくなった。。。ボビーの元ガールフレンド・キャロルは学生運動にどはまりしてしまっているし。かつてボビーをいじめていたウィリーは謎の改心をしつつ街で名を変え物乞いをしているし、サリー・ジョンの章はなんだかよくわからない。テッドのテの字も出てこないし。下巻、必要だったかなこれ。。。上巻と、下巻の最終章だけで良かったような気が。

 

うーん。。。いや、ホント、上巻の中盤以降は尋常じゃない面白さだったのだが。。。下巻は失速感が尋常じゃなかった。残念でならない。キングの文章はいいんだけどねえ。