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リンカーン弁護士/The Lincoln Lawyer (ねこ4.2匹)

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高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが…警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。(裏表紙引用)

 


初めて読む、刑事弁護士ミッキー・ハラーシリーズ。数年前に同作者のボッシュシリーズを読んだときはなんともかんとも微妙だったんだけど、こっちはとっつきやすくてとても面白かった。出だしこそ登場人物の多さに戸惑ったものの、すぐに慣れた。このミッキー・ハラーはお金がなく、いつもお金の話ばっかり&バツ2でのっけから印象は良くない。まあハードボイルドの主人公なんてこんなもんだろ、と割り切りながらそこはスルー。一見クールだけど怒るところはきっちり怒るし、確固たる信念は持っている感じかな。でも基本はイヤな奴。ちなみにリンカーンに乗っているから「リンカーン弁護士」なのだとか。まあ、それならリンカーン・ライムと区別がついて良かったよ。

 

扱っている暴力事件の被疑者がなかなかに曲者で、上巻の終盤から急激に展開が進む。まさにハラハラドキドキのエンターテイメントで、ページをめくる手は止まらない。下巻からはハラーにとって重大な悲しい事件が起きる。ハラー、意外と友情にも篤い。だんだんハラーの人間性が分かってくるなあ。罠にかけられたりもするし。人間こういう時に本性が出るものね。ハラーの過去に扱った事件まで絡んで事件はハラーには辛い結末を迎える。事件そのものは解決するのだけど。これが後にシリーズものとしてハラーの背負う背景になってゆくのだろうな。

 

一言で言うと、正統派。残酷描写はほとんどないし、キャラクターが際立っているわけでもないし、ユーモアがあるわけでもない。面白さだけでぐいぐい引っ張っていくタイプかな。とりあえず出ている分だけでもさっさと追いかけたい。