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ガソリン生活  (ねこ4匹)

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のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。(裏表紙引用)

 

 

わぁい、面白かった!(*´∀`*)
伊坂さんの文庫新刊は、なんと語り手が車という…(笑)。アニメの「カーズ」を連想してもらえればそれでいいと思われる。ていうかほとんど脳内ビジュアルはそれだった。

 

ある普通の家庭の兄弟が巻き込まれた、女優の事故死事件を彼らの所有する車「緑デミ(ミドデミ)」の視点で描くという変わった作品。てか緑デミ可愛すぎる。隣人の所有車である「ザッパ」も賢くて貫禄がある。色んな車が登場するけれど、自転車とは話せないっていうのがおかしい。憧れは電車と飛行機。会う車会う車と必ず「やあ」とか声を掛け合うのが暖かくていいなと思った。てか、車って全員男の子なのね(笑)。男性名詞だっけ。

 

伊坂作品らしく、すご~~~くイヤな人物もバラエティ豊かに登場。まずは自分のせいで女優が死んだのに悪びれない玉田、女優のモラハラ夫、弟・享のクラスメイト「やさいトリオ」。あと、1度も出てこない恐怖のトガシさんとか(笑)。車と人間それぞれ皆個性豊かで会話も面白い。「癪なだけ」と言ったらシャクナゲの話になったり(ただの駄洒落^^;)あとまあ、有名映画や小説を知っていないとイミフな会話が多いかも。タイトルを書いてくれているやつもあるけどないやつもあるので。だから私も気づかなくてスルーしてるところがあるのかも。

 

ページ数としては多いので、内容は盛りだくさん。女優の死の謎解きがメインだけど、車の視点を通して色々なことが判明していく。物語を動かしているのは弟の享だけど、語り手は緑デミなのでじれったかったり。車は動けないから、真実を知っていてもどうしようもない。アクセルを踏んでもらわないと動けない、それが車。車って、もし意識があったら人間の秘密の宝庫だなあと思う^^;

 

ここ数年の伊坂作品の中で1番面白かった。「オー!ファーザー」の家族が出てきたのも嬉しいところ。まあ、こっちは映像化は不可能だと思うが^^;

 

あ、あと。単行本にはあったのかな?カバーを外すと、裏面に番外編の短編小説が載っています^^ま、内容は普通だったけども。短いけど外さないと読めないので立ち読みしたら怒られるかもね。