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星の王子さま/Le Petit Prince (ねこ4匹)

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サン=テグジュペリ著。河野万里子訳。新潮文庫

 

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。 (裏表紙引用)

 


先日読んだ「本棚探偵の生還」で登場した作品。そういえば、読んだことないなと思い(ビックリしないように^^;)仕入れてきた。「幸福の王子」や「王子と乞食」なら読んでるんだけども。ほのぼのしたイラストと共に描かれるこの物語、児童書だと思ってきっとナメていたのだろう、予想以上に哲学的で驚いた。

 

孤独で優しい王子さまは、様々な星を旅して色々な大人と出会う。全てが自分1人で、それぞれの狭い星で窮屈に、何かに囚われて生きている大人。酒びたりだったり、カッコつけていたり、国民のいない王様だったり。王子さまはそんな大人たちを見て悲しい気持ちになったり疑問に思ったりする。

 

王子さまが学んだことは、物事に責任と愛情を持つこと、そして有名な一文である「本当に大切なものは、目に見えない」ことの意味。どうだろう、子どもの成長物語のように見せて、実に我々大人たちこそが見失いがちな人生の本質を描いた物語ではないか。不朽の名作だけに大人にも届く普遍性を持った物語であることに間違いはないが、子どもの自分がどういう感想を持ったかを知ることはもう出来ないのが残念だ。