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早稲女、女、男  (ねこ3.7匹)

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柚木麻子著。祥伝社文庫


早稲田大学四年の早乙女香夏子には、留年を繰り返す脚本家志望のダメ男・長津田という腐れ縁の彼氏がいた。しかし、必死で就活に励んでいる間に後輩の女子が彼に急接近。動揺する香夏子だが、内定先の紳士的な先輩に告白されて…。自意識過剰で不器用で面倒臭い早稲女の香夏子と、彼女を取り巻く微妙な距離感の女子五人。傷つきながら成長する女子たちの等身大の青春小説。(裏表紙引用)




早稲田、日本女子、慶應、青山学院と様々な「カテゴリ分け」された女子が出てくるキャンパスライフ小説。最初はこんなキッチリ大学によって服装や性格が決まるわけないやろ!と反発心しか芽生えずイライラ読んでいたが、読んでいるうちに「そういうこともあるかもしれないな…」と思うようになった。というよりは、カテゴライズ化された世界観で小説を描いていると思えばSFの設定づけのように(←日本語崩壊)。

男らしくて理屈っぽい、服装も野暮ったい香夏子がわたくしは意外と1番好きだった。現実で友だちになりたいとは思わないが。旅行に行ったらこの国の歴史を考えろ調べろ思いを馳せろとか横で言ったりする女の子だけど、正直でいいと思うな。知識が豊富な女性って素敵だと思うし。酔いつぶれた女の子を介抱したりするのもいい。残念ながら、男の趣味だけは最悪だが。長津田みたいなサブカル詳しい俺ビッグ狙ってます的男子がモテるのはわからんでもないけどね。年取るとこういうタイプはヤバいが、と言っても長津田は学歴が高いだけマシじゃないかな。末長く仲良くやってくれとしか思わん。

嫌いだったのはチョイ役だけど麻衣子の友だちの美奈子だな。ルックスで人を値踏みする、いい人のフリして自分よりランクが下だと判断した友だちを傷つけて喜んでるのがもうとにかくイタイ。でもまあ、若い頃の美貌って武器だから楽しめばいいと思う。

なんというか青春真っ盛りって感じで文句なく面白いんだが、極端に描くことによって「さあ面白いだろう?この女イタイだろう?ほれほれ」と読者を掌の上で転がしてます感が鼻につく。どうも柚木さんの作品は合うものと合わないものがハッキリしてしまうようだわ。