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鸚鵡楼の惨劇  (ねこ3.7匹)

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真梨幸子著。小学館文庫。

 

一九六二年、西新宿。十二社の花街に建つ洋館「鸚鵡楼」で惨殺事件が発生する。しかし、その記録は闇に葬られた。時は流れて、バブル全盛の一九九一年。鸚鵡楼の跡地に建った高級マンションでセレブライフを送る人気エッセイストの蜂塚沙保里は、強い恐怖にとらわれていた。「私は将来、息子に殺される」―それは、沙保里の人生唯一の汚点とも言える男の呪縛だった。二〇一三年まで半世にわたり、因縁の地で繰り返し起きる忌まわしき事件。その全貌が明らかになる時、驚愕と戦慄に襲われる!! (裏表紙引用)



ふぅ。これで真梨さんの文庫作品読破。面白いものほど後に残っていた気がするが。。。なんか書く気になれず読んで数日経ってしまったのでもう既に記憶が薄れてしまったので簡単に。

 

色々な人々が時代を変えて登場する作品。主人公は人気エッセイストの蜂塚沙保里で、彼女は周りの人々をモデルにエッセイを書き上げる。本人や身近な者が読んだらすぐに誰と分かってしまうので、敵は多い。それにしても、人を小馬鹿にしたり(書き方は気をつけているものの)他人の洒落にならない秘密を暴いたりと、よくこれで生きていけるなと思う。そんな沙保里は、自分が産んだ息子に恨まれ嫌われていると思い込んでいる。

 

沙保里のストーリー進行の傍ら、謎の青年の身の上話も挿入されているのだが、これがまたなんとも。。。キショイ。。。該当する方には申し訳ないが、BL好きのケは私にないもんで具体的なアレコレの描写はやめていただきたい。まあこれぞ真梨さんかな。

 

長い年月を経て、事件の真相が明らかになっていく体裁なのだが、この作品のキモは「誰が犯人か」などというより「あの語り手は誰であの状況は実はこうで」のほうなんだろうな。それなりに意外性もあって破綻もないのでは。思うのは、タイトルで損をしてる作品だなあということだけ。