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虚構推理  (ねこ4.2匹)

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城平京著。講談社文庫。

 

<第12回本格ミステリ大賞受賞作!>
 深夜、鉄骨を振るい人を襲う亡霊「鋼人七瀬」。それは単なる都市伝説か、本物の亡霊か? 怪異たちに知恵を与える巫女となった美少女、岩永琴子が立ち向かう。人の想像力が生んだ恐るべき妖怪を退治するため琴子が仕掛けたのは、虚構をもって虚構を制する荒業。琴子の空前絶後な推理は果たして成功するか?(裏表紙引用)

 


城平さん2冊目大当たり。この人こんなに凄かったっけ?自分の見る目がなかったと言わざるを得ないな。

 

前知識が全くなかったので、主人公の少女が「一眼一足(義眼と義足)」の巫女だという設定に驚き。この少女を地の文で「岩永」と呼んでいるのも新鮮だ。誘拐されてから怪物たちに色々されてこんなんなっちゃったらしい。頭脳明晰で、弁の立つ、いかにもアニメに出てくる「ツンデレ」少女と言えばイメージしやすいか。その岩永が惚れた相手、九郎もなんだか不老不死っていうのか人間でない者のようで。無理に交際させられ刑事の元カノは登場するしおかしな三角関係勃発。すまんが事件内容より面白い。岩永は10代で下ネタ連発するし、元カノはクールなのに人をばしばし叩くし、九郎は頼れるんだか頼れないんだか何回も死ぬし。

 

この作品の大きな特徴は、事件の真相を推理によって明らかにするのではなく、ネットで広まった噂を虚構の推理でいかに世間を誘導するか、その偽推理をどれだけ浸透させるか、に尽きる。その解決編から思ったほどのカタルシスが得られなかったことだけが残念だが、大きなマイナスにはならないほどの吸引力とオリジナリティを感じた。麻耶雄嵩っぽさもあるし、京極夏彦の影響もあるだろうし、西尾維新もイメージさせるし、本格好きでこれ嫌いな人あまりいないと思う。先日読んだ井上真偽と並んで今年のお宝発掘は調子がいいぞ!

 

こういう作品に触れたことがあまりないので読んでいる最中ヒャッハー≧(´▽`)≦だったのだが、ふと気づいた。これ、もしかしてラノベなのでは。