すべてが猫になる

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格闘する者に○  (ねこ3.8匹)

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これからどうやって生きていこう?マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら…。いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気あふれる小説デビュー作。 (裏表紙引用)

 


ずっと読みたいと思っていた三浦しをんさん。って、1冊(「風が強く吹いている」)読んだことはあるのだけど、それは三浦さんの本領じゃない作品なのではないかと勝手に思っていたので初読み扱いでいいかなと。

 

というわけでデビュー作を。うん、とても面白かった。しかし、あらすじや表紙などから想像していたような「ザ・就職活動」一本の作品ではなかったのが意外だった。主人公の可南子には70歳の書道家の恋人がいるし、家庭は複雑でドタバタ起こりまくるし。漫画が大好きで古本屋大好き、ってところは自分と共通するところがあって、可南子自体の好感度は高かった。「友だちっていうのは人間に対する最高の尊称」が出てきた時にかなりテンション上がりまして。(出典、「サイファ」よ^^)ただ、脚フェチのじいさんの要素は気持ち悪かった。可南子の友人・砂子や二木くんもかなりキャラ濃いし。いくら「平服で」と言われたからって、普通リクルートスーツで行くだろう、ってあたりも、普通の感覚で読んではいけない世界なんだろうなと思いながら。(恥を覚悟で言うが、でも、私、レンガ色のキュロットパンツスーツで面接に行ったことがある。制服のあるちゃんとしたオフィス系の会社ですよ。しかも採用された)

 

出版社の面接まわりの章はかなり興味深かった。K談社とかS英社とか、隠す気ないだろ的な伏字も面白く。K談社の面接がかなり酷くてムカムカ。もちろん実際のK談社の面接はこんなんじゃないと思うけども。・・・たぶん。可南子の描いた試験用の小説もかなり実力を感じたし、S英社は通るのかなーと思ったけどなあ。難しいのね。

 

内容と言えば結局就職物語としてはナンだったんだ、って印象だけれど、それが逆に小気味良かったかな。自分とは絶対相容れない人物ばかりだったけど。三浦しをんさん、どんどん読んで行きたいな。こういう感じの作品でオススメがあれば教えて下さいな^^。