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禁断の魔術  (ねこ3.7匹)

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東野圭吾著。文春文庫。

 

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作! (裏表紙引用)

 


ガリレオシリーズ長編。単行本「禁断の魔術」に収録された作品を加筆・改稿したものだそうな。そちらは読んでいないので良くなったのかどうかは分からないが、感想をサラっと廻ってみた感じではまあ良くなったのだろうなと。内海さん目立ってるしね。

 

物理ミステリというよりは、東野さんの本領である人間ドラマのほうに重きを置いた作品かな。武器についてはもちろんザ・物理な代物なのだが、別にコレである必要はないようなあるような。容疑者の青年と湯川さんとの関係性づくりのために登場させた武器という印象。事件についてはそれほど特筆すべき斬新さはないし、動機についてもまあ確かに許せないが、まともな人なら実行には移さないよなあと思ったり。

 

湯川さんが弟子を信じる心を描いた作品のように受け取られているが(もちろんそれもあるが)、ラストの湯川さんの行動から推察すると(実行したであろう、と考えた場合)、遵法精神よりは責任感のほうを重視する人物なんじゃないかと考えてしまった。これはこれでアブナイ。