すべてが猫になる

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時計は三時に止まる/8 Faces at 3 (ねこ3.8匹)

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クレイグ・ライス著。小鷹信光訳。創元推理文庫

 

ジェイクは半ば呆れていた。今日はディックが駆け落ちをやらかす日。だが肝心の相手が姿を見せない。やむなく先方を訪ねてみれば屋敷は警官だらけ、おまけに彼女は殺人容疑で逮捕されたという。陳述が凄かった。事件のあった午前三時に、時計がいっせいに止まった?頭を抱えたジェイクは旧友のマローンに弁護を依頼するが…。ユーモア・ミステリの名シリーズ、ここに開幕。(裏表紙引用)

 


クレイグ・ライス5冊め~。
弁護士マローンシリーズの第一弾。このシリーズは読んだことがある気がするけどマローンさんにあまりこれといった印象がない^^;風貌はとても弁護士とは思えない、酒飲みみたいな感じのようだが。

 

少しコミカルな作風に、本格サスペンスという両極端な組み合わせを大変気に入っているが、この作品からもうライス節全開。ヒロイン?の女性が自宅で目が覚めると時計がなくなっており、何時か気になって仕方がなくなった彼女は別部屋で殺されている伯母を発見してしまう。家の時計がすべて三時で止まっていたり、寝たはずのベッドが乱れていなかったり、殺害時刻と思しき時間には「自分自身」が外から家の者に電話をかけ、外出させていたりと、不可解な謎がてんこもり。

 

こういう本格的な謎と対照的な、ドタバタ劇が痛快。マローンよりもキャラが立っている人ばかりのような^^;そのコミカルさとは裏腹に、この事件にひそんでいた重い真相に驚く。動機が全てのような作品で、人間とは心あるゆえこうもうまくいかないものかと思い知らされる。

 

マローンについては、特にいい印象も悪い印象も抱かなかったのだが、第一弾なんてこんなものかな。