すべてが猫になる

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その女アレックス/Alex (ねこ4.4匹)

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ピエール・ルメートル著。橘明美訳。文春文庫。

 

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。(裏表紙引用) 

 

 

週刊文春2014年ミステリーベスト10」堂々1位! 「ミステリが読みたい! 」「IN POCKET文庫翻訳ミステリー」でも1位。このミス海外部門1位。


ということで、そりゃ読むよね。
自分が海外このミスランキングの1位とはなぜか相性が悪いことは知っていたのであまり期待しないように読んでみたが――面白さは第一級と言っておこう。それぐらい引き込まれた。ちなみに、海外もの特有の読みにくさや名前の覚えづらさは全くないのでご安心を。

 

女性を長期に渡り監禁し、暴力をふるい精神的にも追い詰めるというところは「特捜部Q 檻の中の女」とまるっきり同じだなあと思っていた。読んでいてウッとなる残酷さも。この作品では章が第三部まで分かれているのだが、監禁される章は前半で終了、そこからは読者をアっと言わせる意外などんでん返しが最後まで続く。正直言うと、結構あるストーリーであり、真相も先日観た映画ソックリだったりして既視感はハンパなかったのだが、最近面白いとされているものを全て詰め込んでみましたみたいな、贅沢な感じはする。

 

そしてなんといっても魅力は、主人公のカミーユ警部。身長145センチというのが驚きだ。この身長のせいで、聞き込みにも苦労しているのだが口が悪いし気が短いため弱点にはなっていない模様。最愛の妻と胎児をサイコキラーに惨殺されたという過去があり、現場復帰はしたものの心の傷は癒えるはずもない。このあたりも、サスペンスものの常道になってきた気がする。リンカーン・ライムしかり、メンタリストしかり。本書はシリーズ第二弾のようだが、そのお話は第一弾なのかな?文庫で出ていないようだが。読み続けたいシリーズなので、ぜひ出して欲しいな。