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魔法使いの弟子たち  (ねこ3.8匹)

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井上夢人著。講談社文庫。

 

山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。週刊誌記者の仲屋京介は取材中に感染してしまう。感染者は400名近くに膨れ上がり、死者も続出。結果、“竜脳炎”感染者で、意識が戻ったのは京介を含めた三名だけだった。隔離生活を続けるうち、三人は不思議な「後遺症」を身につけていることに気づく。(裏表紙引用)

 

 

井上夢人にハズレなし。ってことで、本作はエンタメチックSF長編。竜脳炎と呼ばれるウイルスの感染源となった主人公たち京介、めぐみ、興津の三人が、病気の後遺症で超能力を身に付けるというお話。最初、設定は現代だし、日本だし、リアルすぎて受け入れられないというか、本の世界に入り込めないなーと思った。めぐみのキャラクターが好みではなかったというのもある。男性が理想とする女性像というか、自虐的なところもすぐ泣くところも、婚約者がいるのに京介に肩を抱いてもらったりするところも、似合わない言葉使いをたまにするところも全部イライラ/(-_-)\

 

しかし最初はTVタレントみたいな扱いをされどうなることかと思っていた前半も、中盤から彼らが凶悪犯罪者として警察に追われる立場に変わり、さらにはその能力そのものに対する謎も浮き彫りになって、凄く盛り上がった。特に下巻の、サルとのアクションや警察との戦いは見もの。賛否分かれそうなのはこのラストだと思うが、自分はまあ、アリだな。単なるホニャララオチではないと思う。ここから始まるのだから。ただ、ここまで盛り上げておいて断ち切られた感に悔しい、っていう気持ちならわかる。