すべてが猫になる

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恐怖の誕生パーティ/Surprise Party  (ねこ3.5匹)

ウィリアム・カッツ著。新潮文庫

 

愛する夫の誕生パーティに、昔の友人を呼んでびっくりさせようと、サマンサは夫の過去を調べ始めた。が、在籍したはずの学校、会社、軍にさえ、彼の記録はなかった。いったい夫は誰なのか……。一方警察は、毎年同じ日に起きる鳶色の髪をした女の連続殺人を必死に捜査していた。運命の日は12月5日。そして、その日はサマンサの夫の誕生日でもあった――息づまる長編サスペンス。(裏表紙引用)


最初にひとこと。すぅ~~~~~~~っ(息吸って~~~)
       
           
            邦題ダサいぞコラ!!(ρд´)ノ



・・・あ、失礼しました。オホホ。

 

というわけで、1984年に発表されたミステリファンに大人気と言われるこの作品をついに読了。本当にどうでもいいが、タイトルで検索かけたら和田アキ子がヒットした


このダサい邦題からしスラップスティックな小説を想像していたが全くそんな気配はなかった。文体は軽妙でサクサクと読みやすく、展開も早いのでライトではある。が、妊娠し愛する夫のために誕生パーティーを開くため胸を躍らせて登場する本書のヒロイン・サマンサが背負った悩みと問題はイメージとは程遠いほど深刻で残酷。夫の過去を調べたら、彼の学歴や職歴、名前、生い立ち、そのすべてが存在しなかったと聞いたら普通の人はどうなるだろう。しかも、巷で発生しているサイコキラー(毎年同じ日に殺人が起きるのでカレンダー殺人と呼ばれる。これまたダサい。)が夫ではないか?という疑惑まで。

 

私はある程度の評判を聞いて本書に着手したので、正直ほとんどの謎があからさまなまま進んでいくこの体裁には面食らったところがある。というのは、夫の心理や過去の境遇などは早い段階から読者の目の前にさらされており、彼が機関車や古いテレビなどを買い込む理由なども謎のうちに入っていないのだ。あとはヒロインがどうやって魔の手から逃れるのか?驚愕のラストとは何か?だけを楽しみにページをめくるだけだ。これだけわかっていても興味を他に逸らさないところはさすがだと思う。


で、驚愕のラストはたしかにあっちゃ~~でしたな。あの人の転がり落ちていく様はもう最初から雰囲気に出てたよね。あーめん。