すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

薔薇の殺意/From Doon with Death  (ねこ3.5匹)

ルース・レンデル著。角川文庫。

被害者は30歳の平凡な家庭の主婦。器量も平凡、顔に化粧をしたこともなく、夫と二人、つつましく、ひっそりと暮らしていた。そんな彼女の絞殺死体が牧草地の茂みで発見された。暴行めあての犯行ではなかった。有力な手掛りは遺品の本にあった。余白に、彼女に寄せる想いが綿々とつづられていたのだ。このおよそ人目をひかない女に、これほどの想いを寄せる男がいたとは…ウェクスフォード主任警部の捜査はまずそこからスタートしたのだが――。(あらすじ引用)


~あねきありがとう企画・短期連載ルース・レンデル祭り第2弾~


パターンが似通っているからあまり続けて読まないほうがいいというアドバイスを受け、少し感覚を空けてみた。このウェクスフォード警部シリーズというのはかなり数が出ているらしく、ちゃんと調べないと順番がわからない。翻訳本の発行順はアテにならないからね。特にこのシリーズは、キャラクターが年齢を重ねていく種類のものらしいので。


このウェクスフォード警部、結構人気のようだが、この第1弾を読んだ限りではまったくどういう人物かわからない。気まぐれとか変人とかそういう意味ではなく、かと言って「空気のような人」というわけでもない。だいたいの性格ぐらいはわかる。けど、そんなに心惹かれる人物ではなかった。あくまで、今のこの段階では。あまり自分は警察系の海外ミステリにキャラクターを求めないが、好きなタイプであるに越したことはない。ミステリとして読むには「この程度の長さ」に適した、聞き込み主体のスタンダードな内容。それなりに驚かされる面はあったし、こんな感じなら他のものも全部読んでみてもいいかな、と思った。事件も真相も、女流作家ならではの発想だよね。

(287P/読書所要時間2:30)