すべてが猫になる

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道徳という名の少年  (ねこ3.6匹)

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桜庭一樹著。角川書店

「愛してるわ!ずっと昔から…。子供の頃から、愛していたわ!」町でいちばん美しい、娼婦の四姉妹が遺したものは?(1、2、3,悠久!)、黄色い目の父子と、彼らを愛した少女の背徳の夜(ジャングリン・パパの愛撫の手)、死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ(地球で最後の日)、―桜庭一樹のゴージャスな毒気とかなしい甘さにアーティスト野田仁美が共振してうまれた、極上のヴィジュアルストーリー集。(あらすじ引用)


桜庭さん待望の新刊は、わずか100数ページのイラスト入り長編。耽美で素敵なイラストが雰囲気に合っていて良くも悪くも桜庭さんらしい、予想通りの出来といったところか。この場合の予想通りというのは近親相姦や年代記というパッケージだけのことではなく、面白いのは第一部だけ、海外産の借り物的な
ストーリー作りが作者の能力以上のものではないという、自分が作者に下している評価そのものがそこにあったという意味でもある。

どう読んでも大人向けの絵本であるが、こういう世界が嫌いではない人や生粋の桜庭ファンには楽しめる作品ではなかろうか。珍しく文章の良さは感じられなかったが、海外絵本を読んでいるようなトキメキは確かに存在する。個人的には、年代記は100歩譲っていいとしても、さすがにしつこいように感じて最後はうんざりした。三代記くらいで丁度良かったね。


(123P/読書所要時間0:20)