すべてが猫になる

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和菓子のアン  (ねこ3.9匹)

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坂木司著。光文社。

やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか。 (あらすじ引用)


結構久しぶりの坂木さん新刊。一時は次々出てたのにね、嬉しいやね。昨日から大好きな麻耶さん、大ファンの坂木さん、そして今は愛する道尾さんと、ゆきあやの読書ライフ幸せ期だぁね。あまり乗れない作品が続いていたので、ちょっと今回初めて購入をためらっていたのだが、書店で実物を見てあまりの表紙のラブリーさに一目惚れ買い。いやあ、良かった良かった。久々~のヒットだわ。

えー、本書は高校を卒業したての「ちょいぽちゃ」女子・アンちゃんの初アルバイト奮闘記。成長譚というよりそっちの方がしっくり来る気がした。だって、アンちゃん仕事出来るし(お話の中では色々困ってるけどゆきあやからはそう見えた)常識もあるし愛想もいいし、年齢を考えたら欠点ないんだよね。
ヒロインがちょいぽちゃって設定に最初びっくりしたけど(笑)、恋愛らしきものも絡めて来ないし気持ち良く読めた。キャラクターがいいのはいつもの坂木さんらしさだけど、今回の王子役・立花くんが最高だったな~^^。まさか彼の正体が○○だったとわ(笑)。。時代に合ってるねえ。時代と言えば、坂木作品は毎回時代を象徴する事件を作品に取り込んでいるんだよね。裏を返せば10年後は古くなってしまう恐れも秘めているのだけど、常に作家として感覚を研ぎ澄ませてらっしゃるんだなあ、坂木さんは。店長の椿さんのバックヤードでの真の姿も笑えるし、先輩バイトの桜井さんの過去も面白い^^

ミステリとしては日常の謎系。和菓子にまつわる様々な事件を、お客さんとの交わりを通して描かれている。正直、お客さんのプライベートに突っ込みすぎじゃないかと思うお話もあるのだけど(相手方は迷惑がってるどころか感謝してるんだけどね)、ホロリと来るお話や身のひきしまるエピソードがてんこもり。これこれ、坂木さんのこういうところが好きなんだよ。


そして、今回の主役・和菓子について。
わ、和菓子が食べたくてしょうがなくなった。。。。
基本的に自分はアンコが苦手なこともあって、普段から洋菓子派。そんな自分だけど、百貨店に行って「上生菓子」なるものを買いに行きたくてたまりません、今。。本当に美味しい和菓子を食べて来なかったのかもね、自分は。アンちゃんの和菓子に対する愛情がどのページからも伝わって来たよ。

(344P/読書所要時間2:30)