すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

六蠱の軀 死相学探偵3  (ねこ3.6匹)

イメージ 1

三津田信三著。角川ホラー文庫

志津香はマスコミに勤めるOL。顔立ちは普通だが「美乳」の持ち主だ。最近会社からの帰宅途中に、薄気味悪い視線を感じるようになった。振り向いても、怪しい人は誰もいない。折しも東京で猟奇殺人事件が立て続けにおきる。被害者はどちらも女性だった。帰り道で不安に駆られる志津香が見たものとは…?死相学探偵弦矢俊一郎は、曲矢刑事からの依頼を受け、事件の裏にひそむ謎に迫る。注目の人気シリーズ第3弾。


よもや反響はないと思うが・・・^^;
だって読みやすいんだもん。だってグロくないんだもん。だって角川ホラーなんだもん。というわけで独り言になってしまうと思うが感想を。


事件が適度に陰惨で、コメディ要素もさらにパワーアップ、それでいてミステリとしてきっちりした体裁。文章の軽さが作風とマッチして来た感じ。「占星術殺人事件」を彷彿とさせるシリアルキラーの存在と、それに怯える東京在住の女性達の混乱がスリルを誘う。死相学探偵と曲矢刑事コンビのやり取りも、曲矢刑事が実は大の猫好きだと判明してからはコミカル度倍増(笑)。

六人の女性の優れた部位を奪うという恐ろしく複雑な事件だが、死相を要所要所で生かし理論で犯人を精神的に追いつめていく姿がかっこいい。伏線と思わせて誤誘導だったというテクニックはかのシリーズの作者である事を再確認させるし、「禍家」などのホラーミステリともまた違う、三つ目の作風をモノにされた印象が。シリーズ第3弾だが、冒頭で死相や弦矢の生い立ちについての説明もあるし間違いなく本書が一番出来もいいと思うのでひとつここらあたりからお試しになってはいかがだろうか。(どっかのまわしものみたいだが・・・^^;)

(301P/読書所要時間2:00)