すべてが猫になる

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Nのために  (ねこ3.4匹)

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湊かなえ著。東京創元社

「N」と出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。すべては「N」のために―。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。『告白』『少女』『贖罪』に続く、新たなるステージ。(あらすじ引用)


無難にまとめて来たなあ。という感想が真っ先に浮かんだ湊かなえさんの新刊。第4作となる長編。
なぜこの作家さんをまだ追いかけているのかと言うと、読みやすいしちょっとした刺激になるから。しんどい本の後とかにいいんだよ。

今回は「新たなるステージ」というわけで、今までの告白形式とはちょっと趣向を変え・・・てはおらぬ(^^;)。本書も、タワーマンションで起きた殺人事件に関わった人々の「告白」がメインとなっている。 って、またかい!!;;しかし登場人物に未成年が出て来ない(回想は別として)あたりちょっと世間に歩み寄った感じが。これと言って事件そのものは変わったものではないが、読ませどころは登場人物それぞれの性格や思惑、過去の体験にある。だがいつもの「かなえ節」が出てくるのが中盤以降なので、事件が普通な分その段階まで引っ張ってくれる吸引力はなかったと言いたい。またしてもドロドロとした人格に問題のあるキャラ目白押しなのだが、今回のそれはなんだか作り物すぎるというか、著者の狙いが見えてしまってわざとらしく感じた。こんな奴シンデレラとか白雪姫の世界にしか出て来んやろ、というような稚拙さなのだ。

で、期待していた真相。

微妙だなあ。。。。。。。。。。

全ての登場人物が「N」なのだから誰であっても驚かないというのが一点。それぞれの人物の本心や行動には意外性もあったが、もっとこのタイトルなら「仕掛けてくる」と思っていたのだ。名前だって、男でも女でもいけそうなものが多かったことの理由はないのか。これならミステリじゃなくても。。。読み終わって、「ふーん。・・・で?」と思ってしまったんだよなあ。

まあ、次作も読みます。

(245P/読書所要時間2:00)