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ソーンダイク博士の事件簿 II/The Casebook of Dr. Thorndyke Vol.II  (ねこ3.6匹)

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オースチン・フリーマン著。創元推理文庫

緑色の実験箱を携帯し、助手のポルトンやジャーヴィス医師とともに犯罪捜査に乗り出すジョン・イヴリン・ソーンダイク博士。著者フリーマンは、トリックが思い浮かぶと、友人とともに実験し、写真を撮ったりしながらひとつひとつの作品をこしらえあげていったという。本集には前集同様、倒叙推理をはじめ、アリバイもの、暗号もの等、著者の科学的な観察眼が窺える名品を揃えた。(紹介文引用)


先日読んだ「思考機械」同様、こちらのソーンダイクものも1を読んでいない。なんせ入手したのが数年前、昔はあまり順番を気にするタイプじゃなかったので許しておくれ。だって先に揃えてつまんなかったらヤじゃん^^;

本書は9編の短編が収録されていた。前半に倒叙もの。

一話目から骨に犬の肉をぺたぺた着けて焼き、自分の死体と誤認させようとした凄い犯人登場(笑)。

びっくりした。。。さすがにこれにはいきなりびっくりした(;^^A。。


これはソーンダイクさんが「科学的に捜査!!」しなくてもバレるだろ、という突っ込みは置いておいて。二作ほど読んで感心したのが、ソーンダイクさんが科学的に分析し非常に精密な論理を行っているところだ。現代ならバレる、警察が調べたらすぐわかる、しかし古典が古いと言われるのはだいたいにおいて論理の脆弱性じゃないのかと思うのだがどうだろうか。ワガママなミステリ読みというのはなんでもかんでも最先端の科学捜査で解決されたら文句が出る人種なのだ。

このソーンダイクさんは法科学の権威にして、弁護士の資格を持っているらしい。ゆえに、裁判のシーンも割と多い。依頼人がソーンダイクを訪ねて来る形式が基本となっている点も含めて、今まで読んだこのシリーズの中では一番ホームズに近いのではないか。ソーンダイクさんの人間性の描写はほぼ削除されているので、差といえばそこぐらいか。いや、むしろ、論理性だけはホームズを凌駕しているかもしれない。
お好きなタイプをどうぞ。

一応収録作を書いておきます。「パーシヴァル・ブランドの替玉」「消えた金融業者」「ポンティング氏のアリバイ」「パンドラの箱」「フィリス・アネズリーの受難」「バラバラ死体は語る」「青い甲虫」「焼死体の謎」「ニュージャージースフィンクス」。
ゆきあやが気に入ったのは最初の2作。さすが「倒叙の元祖」ですな。


(315P/読書所要時間3:00)