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ルピナス探偵団の憂愁  (ねこ3.6匹)

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津原泰水著。東京創元社クライム・クラブ。

高校時代「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇してきた少女三人と少年一人。卒業後、それぞれの道を歩んでいた四人のうち、一人が不治の病で世を去った。久々に顔を合わせた三人に残されたのは、彼女が死を前にして百合の樹の林に造らせた、奇妙な小路の謎だった――。第一話「百合の木陰」から時を遡り、高校卒業式を目前に殺人が起きたルピナス学園で、彼らが授かった“祝福”を描く第四話「慈悲の花園」までを辿る。津原泰水だからこそ書き得た、少年少女たちの「探偵」物語。 (あらすじ引用)


第一弾の「当惑」を読んで、キャラクターがかなり気に入ったためこちらの続編も早速読んでみた。ある重要なキャラクターについての不幸は事前情報があったので知っていたが、いざその状況を目にすると
辛いものがあるね。キャラクターでは一番影が薄く描かれていたため個人的にも一番思い入れがなかった人物なのでショックかと言われると言葉に詰まるが。

実際前作とこちらとどっちがどうという感覚はない。彩子と祀島の役割は変わっていないし、ミステリの題材や解明方法についても進歩はないのだ。じゃあ大きな差は何かと言うと、前述した通りのあの人物の思い出をなぞりお互いの友情の深さを確認する物語に仕上がっている点だろう。その感動の持って行き方があまり同調出来ない作風だったため、作品としての構成力や青春のキラキラした煌きの方に照準を合わせる事が出来なかった。

2作読んで、この方の作品の一部(キャラクター)はとても気に入っている。本当はもっと続いて欲しかった。愛着が湧くまでに駒があがりになってしまったものを嘆いても仕方がない、他のジャンルにもっと合うものがある気がしてならない。


(246P/読書所要時間2:00)