すべてが猫になる

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災転(サイコロ)  (ねこ2匹)

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霞流一著。角川ホラー文庫

墓石がありえない形で曲がっていた。その責を問われた碑工師の飛崎漂二は、調査に乗り出すが、次々と奇怪な現象と殺人がおこる。身体の内側から刺された傷、内臓に巣食う魔物、降ってきた死体、隙間なく生えてくる顔…。焼死した非業の女が残した「サイコロ」の謎とは?呪詛の存在を感じた飛崎は、美人巫女で、霊力の研究者でもある九能空美と共に、連続殺人の謎を暴いていく!!怒涛の、奇想天外ホラー。 (裏表紙引用)


「角川ホラーだ、わーい」とか言っちゃってなんでもかんでも買えばいいってもんじゃない、と痛感した1冊。元々好きではない作家さんなのだが、ホラーならシリアステイストかもしれないと夢を抱いて珍しく挑戦してみたら大失敗。普段のバカ路線そのままに、暴走の限りを尽くした下品、エログロの大乱舞。

この路線ははっきり言ってかなり読者を選ぶ。いっそ清々しいぐらい作者がイッてしまっているのだ。
根底にあるものは怨念や人間の闇に隠されたねじれた性癖というホラーの常道で、ミステリとしては論理的手法を使用したプロ作家としてのプライドを保てるレベルのもの。基礎が座っているだけに、味付けがオリジナルすぎて好み以外の概念では評価出来そうもない。とてもここでは書けない凄惨な殺害シーンや下劣な芸術作品、最近流行りの”生き残りゲーム”。悪趣味展覧会のようにネタだけは豊富。


客観的に見てもこれはごく普通の感性の感想だと思う。自分は読む量が多いだけの凡人なのだ。B級であればあるほど燃える読者や普通の刺激では物足りない人には喜ばれる要素がたくさんあるのではないか。
自分はもう二度とこの作家さんに手を出そうとは思わない。


(358P/読書所要時間2:30)