すべてが猫になる

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ルピナス探偵団の当惑  (ねこ3.7匹)

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津原泰水著。原書房ミステリー・リーグ。

「そうだ、検視の結果なんだけど」と姉(警察官)は言い、「いい。聞きたくない。いま食べてるし」と私(女高生)はかえすのだが、「じゃあ聞かないで。勝手に喋るから」そうして事件に巻き込まれ(押しつけられ)てゆく私たち。どうして殺人を犯した直後に被害者の残したピザなんかを食べていったのだろうか、どうして血文字のダイイング・メッセージ(らしい)はわざわざ鏡文字になっていたのか、そしてどうして死体から腕だけを無理して盗んだのか―。才人津原泰水本格ミステリーの粋を凝らした傑作。 (紹介文引用)


やっと読めた~^^
評判の良い作品なので期待に胸ぱんぱんで臨んだこのシリーズ。津原さんの作品自体読むのは初めて。
ていうか、ミステリー・リーグだったのね^^;

本書は3つの短編(?)が収録されている連作もの。ミッション系のルピナス学園に通う仲良し4人組が、主人公・彩子の姉(不二子)と共に様々な事件に関わって行く。名前の読みづらさといい、ちょっとタックシリーズみたいな雰囲気がなくもない。女3、男1とグループとしての男女比は偏っているが、キリエが少年キャラということでバランスを取っている感じ。とにかく不二子や上司の庚午含め、それぞれのキャラが立ちまくっているのは素晴らしい。キリエも不二子も、普通女性キャラにここまでアホ役を徹底させるか?^^;「お姉ちゃん、頭おかしいよ」と高校生の妹に言われる刑事(笑)。。彩子は普通の勘のいい少女なのだけど、祀島くんが大好きなのよねー。ラブレターの代筆には笑った笑った。恋愛に疎くて化石に詳しい祀島くんもかなり魅力がある。彼が実質的の探偵役なのね。あちこちで吐きまくる美少女の摩耶もいいし、会話がコントのようで楽しいったらない。


と、褒めるのはここまで。
それ以外の部分では期待以下だった。きちんと論理立ったミステリになっているが突出してここがいいというものがないので、これならキャラ立ちに合わせていっそゆるミスの方が自分の印象は良かったと思う。2編目から彩子が精彩を欠いてくるし恋の進展もないので、「わ~面白い!」が「結局普通なんだな」で終わってしまった。もちろん続編も読むが、いつでもいいかな、という程度だね。


(309P/読書所要時間2:30)