すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

赤い蟷螂  (ねこ3.5匹)

イメージ 1

赤星香一郎著。講談社ノベルス

赤い蟷螂を見た者には必ず災いが降りかかる―。大学生・赤井雅彦の周りで飛び交う噂。あくまで噂だとたかをくくっていたなか、それに関わった友人たちが不可解な死を遂げる。次は自分ではないかと恐怖におののきつつも時は経ち、そのことを忘れかけていた頃、再び赤井の周りで不審な出来事が起こり始める…。 (裏表紙引用)


「虫とりのうた」に続く第二弾。
なかなか良い作品だったのでこっちも読んでみることに。噂には聞いていたが、前作と同じものを読んでいるような幻覚を見た^^;

ネットで広まっている「赤い蟷螂」を見た者は死んでしまう、という設定自体は好み。主人公・赤井の周りで次々と死ぬ者が現れ、高校時代の後輩・角田の協力を得て呪いの調査を始めるというのもなかなかそそられる。赤井にシングルマザーの恋人が居て、子供を可愛がっているというのも人となりが分かりやすくて共感しやすいと思う。特に角田のキャラが立っていて気に入った。最初はオヤジギャグ連発で痛い奴だと思ったが、実は「死語研究家」だそうだ。最近この「オヤジギャグを言うキャラ」をよく見かけるが、それでキャラを立てようとするのは安易ではないかと思っていたので一歩先に進んだ感があるね。自分より10歳くらい年上の作家さんなので、知らない言葉もあったが^^;出来れば謝る時は「メンゴ」、別れる時は「ジャーニー」と言ってくれれば完璧だった(笑)。

で、ホラーとしては哀れになるくらい怖くない(笑)。赤井がよく悪夢を見るシーンが出てくるのだが、
夢だってすぐわかるしパターンが一緒だし発想があまり新しくないかな。そこが残念。前作に比べてミステリ的にテクニックが上がって来ているのだが、常に展開の20ページ先が読めてしまうので課題はここかなあ。これは持論なんだけど、読者っていつでも意外性を求めてるわけじゃないと思うんだよ。意外な「ええ~っ」ていう展開だとガッカリするじゃない。こっちが期待する展開と、予想外の展開の割合って大事なんじゃないかなあ。


というわけで、第三弾を読むかどうかはわかりません。でもまあ、普通ぐらいの面白さはあるのでホラーやミステリがお好きなら読んでみていいかも。


(270P/読書所要時間2:30)