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白楼夢 -海峡植民地にて  (ねこ3.9匹)

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多島斗志之著。創元推理文庫

1920年代の英国領シンガポール。様々な勢力が入り乱れる街で顔役として名を馳せる青年・林田は、大物華僑の娘・呂白蘭殺害の容疑者として、警察と呂一族双方から追われる身となる。林田は執拗な追跡をかわしつつ、己を陥れた黒幕を捜す決意を固める。追う者と追われる者、各々が見出す驚愕の真相。鮮やかなどんでん返しが相次ぐ、ミステリの名手が趣向を凝らした逸品、初の文庫化。(裏表紙引用)


うほ~(><)面白かった~~~(><)v

最初は舞台が1920年代のシンガポールということで、あまり自分の好みっぽくないなあと思っていたのじゃが。。華僑の人々が関わっているのだけど、自分は中国系の地名人名が苦手なのよね。鳳王とか虎生とかの読み方に苦戦していた後、警察視点の章に変わって「チャールズ・ケイン」が登場した時心からホッとしたんだもんなあ(笑)。

そんなこんなで、内容も独特。灼熱のシンガポールの空気と、あの時代の日本人ののし上がり精神そのものの雰囲気がもうたまらなく良かった。実力のない者が周りの策略で大物に仕立て上げられて行くさまや、弱い日本の女性、権力(後ろ盾)のある女性の生き様がリアルに描かれている。トロッコを押す賭けをさせられたシーンとか凄まじかったし、気質は淡白という設定ながらもしぶとく男らしい林田は女性から見てとてもセクシーに感じる。そりゃモテるわ^^

林田がシンガポールに来てからの出世譚と、殺人容疑を着せられてからの逃亡劇となっているのだが、怪しい人間が死んでいたり敵が味方になったりと、息つく暇がない。めまぐるしく変わる状況とその展開にはらはらし通しだった。自分にはミステリというより冒険劇だったな。満足です!!^^


(357P/読書所要時間2:30)