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蝦蟇倉市事件 1  (ねこ3.8匹)

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伊坂幸太郎大山誠一郎、伯方雪日、福田栄一道尾秀介著。東京創元社ミステリ・フロンティア


海と山に囲まれた、風光明媚な街、蝦蟇倉。この街ではなぜか年間平均十五件もの不可能犯罪が起こるという。自殺の名所に、怪しげな新興宗教や謎の相談屋。不可能犯罪専門の刑事や、とんでもない市長、そして無価値な置物を要求する脅迫者―。様々な不可思議に包まれた街・蝦蟇倉へようこそ!今注目の作家たちが、全員で作り上げた架空の街を舞台に描く、超豪華競作アンソロジー第一弾。 (紹介文引用)


今話題となっている競作アンソロジー。早めに予約したためか、1と2が一気に廻って来た(るん♪)。
執筆陣が豪華、表紙がキュート、コンセプトがミステリファンの読書欲をそそる。評判がいいのも楽しみにしていた理由のひとつ。まあ、自分はミッチーの名前さえあればなんでも^^。


『弓投げの崖を見てはいけない』 道尾秀介
蝦蟇倉市東端にある断崖は自殺の名所となっていて、そこには自殺者の霊が集まっているため崖を通る時はそちらを見てはいけないのだそうだ。保育士の邦夫が崖を通った時に巻き込まれた事故が、多くの人々の運命を狂わせる。
いやいやいや、さすが道尾さん。ダントツの面白さですわ。事故の真相へと至る緊迫感と意外性、そして関係者たちのドラマが読ませる。


『浜田青年ホントスカ』 伊坂幸太郎
なんだこのタイトルは、と思っていたら本編の主人公・浜田の口癖っていうね。スーパーの駐車場で相談員、というのも変わっていて面白い。道尾作品との繋がりも膝を打つ感じ。


『不可能犯罪係自身の事件』 大山誠一郎
『アルファベット・パズラーズ』の人だね^^。密室殺人の容疑者にされてしまった真知博士のキャラがなんだか面白い。本格まっしぐらで、なかなか面白い事をしているとは思うのだが。。。年のせいか、最近こういうロジックがための作品を読むのが辛くなって来た。。
あと、自分が指摘したかった点があったのだが、べるさんが同じことを記事で言及されていたのでこちらでは割愛しましょう。友よ、さすが^^。


『大黒天』 福田栄一
『エンド・クレジットに最適な夏』」の人だね^^。読みやすかったし嫌いではない。あまり謎としては興味深いものではなかったけど。姉と弟の関係がなんだか微笑ましくってねえ^^あと、ラストで判明した姉の秘密にびっくり。企画ものとしてこういうところが出てくると楽しいね。


『Gカップ・フェイント』 伯方雪日
『誰もわたしを倒せない』の人だね^^。ごめん、このタイトル最初に見た時いやらしいお話なのかと思った^^;(←オヤジか)相変わらずのプロレス・ミステリ。プロレスには全く興味がないけど、この人のお話はとっつきやすい。なかなか派手なトリックで感心したし、脇役の「ハハッ」「ハハハハッ」の刑事が笑えてしょうがなかった^^;


以上。
やはり道尾・伊坂の両名が抜きん出て面白かった(予想通り)。でも、苦手な作家さんが居なかったし贔屓目に見なくても後の3作も水準並みの出来で良かったと思う。

あと、道尾さんの「執筆者コメント」に驚愕。慌ててネタバレを調べて読み直すとあら不思議、違った解釈が。。。ブロガーの皆様ありがとう。でも、そうでなくともあれで十分完成されていたと思うんだけどね。誤植はともかくだね。そこが道尾さんのプロ意識の高さ、これからもますます応援しちゃう。


(317P/読書所要時間3:00)