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100人館の殺人  (ねこ3.7匹)

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山口芳宏著。東京創元社

●著者のことば
「100人の名前をおぼえる必要はありません!
6ページの登場人物評付!
親切設計!」
――山口芳宏

大富豪の館でメイドとして働く妹に頼まれ、名探偵・西園寺とその館にかけつけた神尾は、奇妙な殺人事件に遭遇する。衆人環視下、謎の方法で館の主が殴り殺され、容疑者は、なんと100人! 館の主・高崎幸之助が開いたパーティに訪れていた客に加え、肉親もスタッフも誰もかれもが疑わしい!? しかも外界に通じる唯一の道である橋が爆破され、閉鎖空間内で次々事件が……。鬼才があなたに“本格ミステリ”の意味を問う、驚愕の最新作。(あらすじ引用)



楽しみに楽しみに楽しみにしていた山口さんの新刊。今回は大冒険シリーズでも孫シリーズでもないということで。表紙もタイトルもいいしなあ、読む前からうきうきだー!


で、どうだったかというと~。

可もある不可もある、大冒険以降のいつもの山口さん。これ、新シリーズだかノンシリーズだかわからないけれど、大冒険や孫じゃダメだったの?違いは何?というぐらい、主要探偵の西園寺のキャラクターや作風がいつも通りだった(笑)。特徴は「ふぉっふぉっふぉっ」というバルタン笑いのみで、暴走度や奇特さで言えば真野原・荒城組や孫とは勝負にならない感じ。かと言って、無個性でもないからそこがいいんだけど。西園寺の助手役である神尾やその妹の結衣子も良かったしね。ただ、相変わらずメイド萌えネタなのは勘弁して欲しい^^;メイドの詩織のキャラも夢見過ぎだしなあ。可愛いピュアな巨乳女子だってあなた達男性と同じ心を持った1人の人間ですよ?と揶揄したくなる。

トリックは相変わらずぶっ飛んでるし、本格ミステリのタブーを逆手に取ったサプライズもあるし、それなりに楽しめる作品ではある。が、100人居るはずの登場人物が実際は20人くらいしか居ないような雰囲気だったし、もっと普通じゃない理由での100人である必然が欲しかったんだよねえ、個人的には。まとまりがあって、詰め込み方も丁度良くて、本格ミステリとしても読みごたえがある。いいじゃない。でも、それって、山口芳宏さんという作家の一番の”売り”だったっけ?


(313P/読書所要時間3:00)