すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

紙魚家崩壊 九つの謎  (ねこ3.4匹)

イメージ 1

北村薫著。講談社文庫。

日常のふとした裂け目に入りこみ心が壊れていく女性、秘められた想いのたどり着く場所、ミステリの中に生きる人間たちの覚悟、生活の中に潜むささやかな謎を解きほぐす軽やかな推理、オトギ国を震撼させた「カチカチ山」の“おばあさん殺害事件”の真相とは?優美なたくらみに満ちた九つの謎を描く傑作ミステリ短編集。 (裏表紙引用)


こういう短編集は評価がしづらい。
テーマもジャンルもバラバラなのに一応どれもホラー、ミステリの形を取っているんだよね。「溶けていく」「俺の席」のような正統派ホラーもあれば「紙魚家崩壊」「死と密室」のようなメタミステリもある。そうかと言えば「蝶」みたいな幻想文学もあるし、「新釈おとぎばなし」のようなカチカチ山のパスティーシュだってあるのだ。その中間に、北村さんの人気シリーズ・○紫さんの幼少時代のお話なんてものも入っていると来た。

どう楽しめばいいのやら。ごった煮短編集が嫌いなわけでは絶対にない自分なのだが、期待していた感じのもの半々、イライラさせられる作風半々。さりげない文章の美しさはほの見えるものの、これは自分が求めている北村作品とは違ったんだな。北村作品で斜め読みなんて初めてした。


(251P/読書所要時間2:00)