すべてが猫になる

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もう誘拐なんてしない  (ねこ3.6匹)

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東川篤哉著。文藝春秋

俺が、おまえを誘拐してやろうか?ひょんなことからヤクザの組長の娘を誘拐する羽目になった翔太郎。関門海峡を挟んで、脱力感あふれる青春が、小気味よい九州弁が、驚愕のミステリーが炸裂する。とびきりキュート、空前の身代金トリック。 (あらすじ引用)


えへ、借りちゃった^^。

東川さんのノンシリーズ作品。
ゆきあやの東川嫌いが(一部で)有名である通り、自分は普段著者のレビューや紹介文を読むことはあまりない。ので、評判もストーリーも全くの予備知識のないまま読んだ。

とにかくまあ、予想通りのギャグ&ゆる展開のオンパレード。ヤクザの娘・絵里香と先輩・甲田と組んで
狂言誘拐を企む事になった翔太郎。主要人物たちの年齢が若いため、緊張感がいつもにも増してまるでないのが東川作品らしい。さらに、ヤクザの組長や絵里香の姉・皐月、組員たちすべてがコントのような役割を担っており笑えてしょうがない。そんな雰囲気なものだから、狂言誘拐、偽札と来て次に殺人事件が
発生するとは思わなかった。に、似合わない^^;;しかしまあ、前のネタ二つじゃあまりにも長編として尺が足りないんだろう。

あのシリーズのうざい警部も出なかったし(あのシリーズかと思っていたのだ)、それなりに楽しくは読めたのだ。普段20くらいある”イライラポイント”が今回1つくらいしか出なかったもの。これぐらいの笑いの密度が自分にはちょうどいい。ブログ界きっての東川ファン・bるさん、Aねきの記事を拝見していると、どうやら生粋のファンにはなにもかもが物足りないらしい。自分が物足りないと思ったところは偽札の真相や手術の後日談がほったらかしにされていたところや、トリック自体がまさかのお粗末仕様だったところだ。誤差の範囲とはとても言えない、気付かれる可能性が高い上にそれを考慮していない点が特に気に入らないし、そこをクリアしなければ成立し得なかった。論理としてはスムーズだったゆえに
残念。

そしてラストはワカメ怪人で終わる(笑)。ああもう、こういうところが最終的には憎めないんだよな。

(270P/読書所要時間3:00)