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キケン  (ねこ3.7匹)

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有川浩著。新潮社。

成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。(あらすじ引用)


有川さんの最新刊。この漫画風表紙の面白さに惹かれた人は多いはず。右下で突っ込んでる元山がいい味出してるねえ。裏表紙でも突っ込んでおります^^;


さて、毎回題材を変えながらも極上のエンタメ小説に仕上げる有川さんですが。今回はちょっと個人的に参った。完全文系人間の自分には電気工科部なんてものは縁がないわけで。電子レンジやトースターのコンセントを差すだけでも息を止めてしまうぐらいだもの、読み始めのわからなさと言ったらなかった。
【機械制御研究部】という名前が出てくるだけでもうダメ^^;挫折しようかと思ったぐらい。登場人物も、9割男の子なんだよねえ。ベタ甘を求めていたわけじゃないけれど、これなら自分はラグビー部とか剣道部とかの方がとっつきやすい。それぐらい理工ものってダメ。。

が、第二章の「副部長・大神宏明の悲劇」から急に読めるものになったので助かった。。しかし、あれだけ機械機械した冒頭から突然恋愛ものかぃ!?脳内の切り替えが忙しい。それにしても、大神の彼女、あれはないわー。いくらお嬢様でも、男を家に泊めておいてそれはないわー。意味わからんわー。
しかし、後からこの彼女が出てくるものと思っていたが。。。

一番面白かったのは、やっぱり学祭。前・後編になっていて力が入っているねー。ラーメン、本格派で美味しそう。ここで”お店の子”元山が大活躍。売り上げを例年の三倍にするという目標も凄いし、純利益が文化祭レベルじゃない^^;;


で、本書は社会人となり結婚した元山が過去を振り返るという体裁になっているのだけど。最後の黒板のページでは涙ぐんでしまった。かくいう自分は学校がらみでの団結の思い出がさっぱりないので、共感出来るかどうか不安だったけど。良かった良かった。若さの輝きなら身に覚えが多々あるからね。自分は中3から25歳くらいまでが黄金期だったよ(と、人生が走馬灯のように駆け巡る。。)。

ん~、まあ、でも、これはそれほどお気に入りにはなりそうにない。テーマは普遍的なものを扱っているけれど、題材が受け入れやすいものを求む。

(269P/読書所要時間2:30)