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学園島の殺人  (ねこ3.7匹)

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山口芳宏著。講談社ノベルス

島の秘密を探ろうとする者は、黒いサンタクロースに殺される―全寮制の学園の島を襲ったのは、生首の入った袋を背負って夜な夜な徘徊する謎の男だった!島に伝わる『再生の書』、来日する王女が持つ『浄化の鍵』、魔界から来たという謎の無人列車、陰謀渦巻く廃墟地帯、そして次々と起きる首切り殺人―学園を救うため、学生探偵・真野原が島の謎に挑む。 (あらすじ引用)


真野原の孫シリーズ第2弾が早くも発売。第1弾の薄分冊に反発したわれわれの声が講談社に届いたとしか思えない。今回の分厚い1冊本にはあっぱれ。が、”山口よっちゃんを応援する会”の皆さんのどこでもまだ記事が見られない。珍しく一番乗りか?


さて、内容。
本シリーズと比べて勢いが足りず、真野原(孫)のキャラも祖父のレベルまで到達していない印象だった前作。今回は見事にキャラが勢いづいている。祖父・真野原の傍若無人・変人ぶりと比べても全く遜色のない奇行・ギャグ連発のオンパレードで、前回は祖父を嫌っているかのような態度を見せた真野原が祖父を尊敬していると解釈すべきくだりまである。名前すら忘れていた森崎も自分で思考しながら行動する面を見せ、主人公の貫禄がついてきた。
学園の生徒と関係者のみで成り立っている”学園島”という設定もなかなか面白いし、島の中にモノレールがあり現金は持てずポイントカードを使うという制度が変わっている。真野原と森崎がエロゲー好きというところから事件捜査をロールプレイングゲームにたとえる言動も多く見られ、さらに本作をファンタジーたらしめているのがアクスリーテ王国から来た転校生・王女様。こうして見るとページ数も納得の内容の詰め込みの濃さで、トリックも派手で強引で愉快である。すべての事象を理論的に収束させたのは見事と言えよう。


ここからは個人的意見。
最近の講談社ノベルスは、「エロやマンガのキャラクターネタを入れると受ける」のか?やたらと好んで登場させている北斗の拳のジャギなんて、どの世代を狙えば理解されるんだ。必要のないエロ要素のセンスも若者のそれではないのが切ない。山口さん、自分と同世代なんだよなあ。。そう思うと強く言いにくい^^;このシリーズが自分向けでないのか、大冒険シリーズがたまたま当たったのか。今月新刊も出ることだし、前者であることを祈る。

(581P/読書所要時間6:00)