すべてが猫になる

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吾輩はシャーロック・ホームズである  (ねこ2.9匹)

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柳広司著。角川文庫。

ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて…。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。 (裏表紙引用)


シャーロック・ホームズは大昔に読破し数度再読もしているが、夏目漱石は「吾輩は猫である」「こころ」「坊ちゃん」あたりしか読んでいない。しかも内容は覚えていない。しかし本書はどちらの知識量が必要かと言ったらホームズの方ではないかと思う。いや、勿論日本の文化や芸術にもまんべんなく触れ、落ち度がない程度に”夏目ホームズ”の設定を生かした推理内容となっているのだが。視点の方は夏目なので、どう読めばいいのか戸惑ったのかもしれない。

あんまノレなかったなあ。。
悪くはない。。
悪くはないのだが。。
この”ちんちくりん夏目ホームズ”のイラストも萌えるし、双子のリール姉妹のステレオトークも笑えたし、夏目の自転車特訓のくだりも面白いし、アイリーン・アドラーにスポットが当たっていたのが個人的には嬉しいし(悪女好き)。

目まぐるしく真相が変わる展開もそれほど斬新にとれなかったというか、夏目が最初に推理したトンデモ推理の方が個人的には好みだった。そんなわけで淡々と普通に読了。
比べちゃ間違いかもしれないけど、ホームズを愛をこめてぶった斬った島荘の『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』が大傑作だと思っているので想像通りと言えばその通りか。

                             (272P/読書所要時間3:00)