すべてが猫になる

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根津愛(代理)探偵事務所  (ねこ3.9匹)

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愛川晶著。原書房

「助けてー!殺される」。警察への通報の直後に絞殺された女性のマンションの台所には、カレーの入った鍋が残されていた。何と探偵は、たった一口そのカレーを食べただけで、犯人をずばりと名指ししてしまう!美少女代理探偵・根津愛からの挑戦状を含む傑作推理小説とネコマンガ、そして…?“企み”に満ちた注目の作品集。(あらすじ引用)

読んだのは画像上の単行本のほうで、光文社文庫から改題にて出版された『カレーライスは知っていた』が画像下です。くそう、下のかわいいほうで読みたかった。。この文庫の存在を知った時にはもう読み始めてしまっていたし、翌日慌てて買いに行く手も考えたけど調べたら絶版だったんだよな。。ぶつぶつ。しかも、文庫には「納豆殺人事件」が追加収録されているもよう。きぃぃー!!

そもそもコレを読もうと思ったのは、また読破を目指せる作家さんを図書館で探しまわって、愛川さんなら著作も多いし1冊しか読んでないし(「光る地獄蝶」)開架に割と揃っているしいいかなー、という考えから。ある本全部パラパラ見てみて、この本に収録されていた謎のネコマンガ(笑)に惹かれてしまったからなのだ。そもそも、このシリーズでは根津愛は実在している事になっている。愛ちゃんが
語り手となっている『独白』によると、彼女はあの北森鴻さんに「あなたのファンです」と挨拶されたとかなんとか(笑)。他にも色々有名ミステリ作家さんのお名前が出て来て面白い。しかも何が面白いって、根津愛の小学生時代のスナップが本当に掲載されている(笑)。横に写っているのは愛川さんご本人らしい。このお嬢さんは愛川さんの娘さん??根津愛がネコマンガをアップしているというホームページのアドレスも本当に載っているのだけど、これは一体???(実在しているのか検索しようとしたら自分の力では表示出来ない記号が入っていて無理だった。。)


さて、ツッコミどころが多い本書ですが内容もなかなか読みごたえがあったので感想を。

まずは目次の前に『愛川晶より根津愛へ』というメールのやりとりから。
続いて『根津愛の独白1』へ。自己紹介ですね。

14ページ目、やっと一編目の『カレーライスは知っていた』が読めます(;^^A。
なんと、カレーライスのレシピつき(笑)しかもこれが伏線になっているらしいので、絶対読み飛ばしてはいけないらしい。さらに、挿入される「読者への挑戦状」によれば第八節まで読み終わったら実際に読者がレシピ通りにカレーライスを作らなければいけないらしい(笑)。実際に作るとトリックと犯人がわかるというもの。おいおいおい。。。
この作品は犯人当ての懸賞になっていたらしく、実際にカレーを作って入選・正解した読者もいらっしゃったようですね(笑)。

『根津愛の独白2』を挟み、二編目の『だって、冷え性なんだモン!』。
これも面白い。被害者の身につけているイヤリングや手袋、スリッパなどなどの衣類や装飾品がちぐはぐになっていたというもの。容疑者は被害者の愛人であった3人の男性で、犯人当ての体裁をとっています。これも懸賞公募されたそうで、なんと入選者のひとりは光原百合さんだったんだって!!

続く『スケートおじさん』は11ページの作品。
自転車と自動車の接触事故と、謎のスケートおじさんの正体、その絡みは?という感じ。面白かったけど、いきなりなんだコレ?という感じが^^;

そして『根津愛の独白3』。
なんとタイムリーなんでしょう!!昨日べるさんにお薦めしてもらった『堕天使殺人事件』の宣伝?が詳細に!!(笑)このシリーズが入っているのね!

~~~~ここで唐突に、『初登場記念特別付録・根津愛ネコマンガ』が始まる~~~~
7~8コマのネコマンガが8作掲載されています(笑)。
かわいい・・・かわいいぞ。。
しかし、このマンガを掲載した意図は一体。

『コロッケの密室』
マッシュポテトの元の袋に隠した一千万円のダイヤモンド。犯人の手違いで、ダイヤを入れたままコロッケと化してしまった(笑)。七個のコロッケのどれにダイヤが。。。
お料理ネタが多い作品ですかねえ。これも面白かった。伏線はちょっと卑怯だけど、自分の無知と真相に笑うしかないねえ。そしてここでも『堕天使殺人事件』の宣伝が(笑)。そうか、愛川さん作品の後に森江春策が出るのか。。

『根津愛の独白4』。先に『堕天使~』を読んでた方が良かったのかな。。谺さんの作中キャラが「コロッケ」で出て来てたんだって。

『死への密室』
「読者への挑戦状」がめちゃくちゃ早い(笑)。。なんでも愛ちゃんは招待された家を外から見た瞬間トリックがわかったらしい。。。
おそ松くんがお好きな方にはたまらない作品となっております。。。シェー。

ラストは愛ちゃんの父親であり刑事である根津信三さんによる『あとがき』で締めております。。。
「スケートおじさん」の真相が描かれておりますが、これこそいらないだろ^^;;


まとめ感想。
かなりぶっ飛んでいる上にミステリとしてはどれも読みごたえがあり、満足しました。
設定として気持ちが悪いのは、「キリンさん」こと桐野刑事(25歳)はロリコンで、6歳の美少女である愛ちゃんに本気で惚れているという一編目。いや、こういうの笑えないので。
基本的に愛ちゃんは高校生になり事件を解決していくのですが、もっと女性ならではの、高校生ならではの着眼点とかがあれば良かったな。あまりにも多種多様の知識がありすぎて、大人と同じなんだもの。後半で「密室談義」を始められた時にはさすがに引いた。。だんだん愛ちゃんが二階堂蘭子にしか見えなくなって来たのは残念です。

長くなりました。。
それだけにとても気に入りました。次もこのシリーズを読もう。。

                             (340P/読書所要時間3:30)