誉田哲也著。文藝春秋。
高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。 (あらすじ引用)
ぬお~~~~~~。武士道シリーズ三作目、遂に完結です!(たぶん。。。)
今回は最上級生となった香織と早苗がインターハイでの決戦・・・!というヤマがあるのですが、第三弾にしてサブキャラクターを主人公に据えたお話がたくさん収録されておりますぅ^^。香織も進路に挫折があったり早苗が靭帯を損傷したりと主人公サイドだけでも盛りだくさんなわけですが。
香織は一度早苗に負けてますから、雪辱をどう晴らすのか晴らせないのかドキドキ。以前は「お前を倒す!」一辺倒だった香織が、武士道を正面から突き詰めて勝負の壁を越えた対決となっているのがいいですね。試合自体は色々アレでしたが、大事なのは成長した気持ちですから^^
サイドストーリーの一つは、トップモデルである早苗の姉のお話。彼氏が剣道部ですから早苗とも接点がありますが、なんというか厳しい世界なんですねえ。。幼なじみと付き合っちゃいけないって、じゃあ芸能人ならいいのか?モデルって息が短い職業ですし、ゆくゆくはタレントになるのかな。せつない。せつないぞ!
そしてびっくりしたのが桐山道場の横溝正史ばりの隠された秘密(笑)。金田一が出て来るのかと思ったぞ(笑)。。なんとなーく、このシリーズには似合わない雰囲気だなあと思ったのでした。しかし知らなかったんだから責められちゃ酷だよねえ。。しかし、桐山道場の教えであるシカケとオサエの真実には目から鱗でした。実際に経験しないとその感覚はわからないでしょうが、伝わって来るのが誉田さんの良さですな^^
そして”チンピラ”こと吉野先生。かつて13人を相手に喧嘩に勝ったという武勇伝がある悪魔のような先生ですが、その真相が明らかに。いやいやまさか、こんな切ないラブストーリーが隠されていたとわ・・!!途中泣きそうになりましたよ。。でも年月をかけて大人になれて良かったねえ。
最後が、ずっと気になっていた香織の後輩・田原さん。香織にべったりだった田原さんが、香織の指導に逆らい続けていたワケとは・・!!うーん、こりゃショックだわ。。何かに盲目的に打ち込んでいると、ばっさり切られた時のダメージはいかばかりか。。でも良かった、嫌な理由じゃなくて。
一応長編なのですが、これだけの贅沢な内容が詰め込まれておりました。
香織と早苗が大人っぽいカフェに行ったくだりとか面白かったな~。香織にとってはキャラメルマキアートとかエスプレッソとかうだうだ言ってないで緑茶持って来ーい!って感じなんですよね(笑)
ところで、これ、ほんとに終わりなんでしょうか・・?なんだか大学生になっても社会人になっても剣道続けられそう、というか続ける下地っていっぱいあったんですね。。ということは!!出るのか「ナインティーン」!!!そして是非香織に恋ネタを!(笑)
(349P/読書所要時間3:00)