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妖怪アパートの幽雅な日常 1  (ねこ3.7匹)

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香月日輪著。講談社文庫。

共同浴場は地下洞窟にこんこんと湧く温泉、とてつもなくうまいご飯を作ってくれる「手首だけの」賄いさん―十三歳で両親を失った俺が高校進学と同時に入居したのは人呼んで“妖怪アパート”!次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今までの常識と知識は砕け散る。大人気シリーズ、待望の文庫化。
(裏表紙引用)


児童書です。
この人気シリーズの存在を全く知らなかったのですが、偶然読書メーターで騒がれているのを目にして気まぐれに買ってみました。横に「2」も積んであったのですが、気に入るかどうかわからなかったので保留で。

うん、なかなか良かったです。
しゃばけ」のように妖怪がわさわさ出て来るのかな~、わくわくわく~、とそんな風に期待していたのですが、冒頭から新高校生の両親を亡くした少年が登場し戸惑いました。境遇が本書のイメージに反して割と重く、彼の日常の辛さにスポットをあてて始まるので、これは思ってたのと違うぞ?と微妙な気分に。後は想像通り、彼が住む事になったアパートに妖怪がわしゃわしゃ出現して大騒ぎとなります。とにかく妖怪の数が多い。。妖怪にも人間に近いものから全く生物の形を成していないものまで色々居るのですが、元は生者なので彼らがその姿で人間界に留まっている理由などが描かれていて良いですね。ほのぼのもしているし、説教臭いところもあるし、バランスがいいのでは。

個人的には後半まであまりノレずでした。ハイライトと思われる虐待死したクリちゃんとその母親の幽霊の章ですら、あざとさを感じてしまったぐらいで。掘り下げないなら描かない方がいいというか、主人公の少年の心の成長の為だけに出して来たエピソードな気がして別の意味で辛かった。これの時代設定はいつごろなんでしょうか?高校生が「奥様は魔女」の名台詞を知っているし、少年達が昔のヤンキーっぽいし、その割に社会的背景(虐待や少年犯罪)は現代っぽいし。
しかしラスト、妖怪達と少年が別れてからのあれやこれやは感動しました。

キャラクターでは手首だけのるり子さんが好きです。料理がおいしそう!褒められて照れている手首が可愛いね^^後のキャラも今後掘り下げられてゆくのでしょうか。「2」を読むかどうかはまた気まぐれ次第かもしれませんが。。。

                             (233P/読書所要時間2:00)