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赫眼  (ねこ3.7匹)

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三津田信三著。光文社文庫

目を奪う美貌と、小学生とは思えぬ色香。転校生の目童たかりは、謎めいた美少女だった。学校を休んだ彼女に届け物をしに、少年が訪れた家の奥―そこには、あまりにも禍々しい何かが横たわっていた…(表題作)。合わせ鏡が作り出す無限に続く映像世界。その魔力に取り憑かれた男を襲う怪異とは(「合わせ鏡の地獄」)。書下ろし掌編を含む、悪夢のような傑作十二編。 (裏表紙引用)


この素敵表紙の正体は、先日よもさんと一緒に買った三津田さんの書き下ろし文庫新刊。
三津田さんと言えば今をときめくカルト的人気作家ですが、このホラーシリーズはあまり手に取る方が居ないようで。せっかく文庫なのになあ。

さて、本書は初の短編集となっております。三津田さんと言えばホラー+ミステリがお得意の作家さんですが、本書は完全な怪奇譚。書き下ろしの掌編が合間に挿まれていて、贅沢な1冊。三津田さんらしい民族学的なテーマを主流とした、正統派の和製ホラー集です。自ら怪奇話を集めるのがご趣味という三津田さんらしく、作者そのものを主人公とした見聞録という体裁ですね。真偽はどうあれ、どれも怖い怖い^^;;;どこかで聞いたような幽霊話を、三津田さんが自分なりにアレンジしてオリジナルの真相にしている感じがグッドでした。

特に「よなかのでんわ」「合わせ鏡の地獄」が好きかな。「怪奇写真作家」も良かったけど。やっぱり
三津田さんの作品には古風な恐怖の雰囲気や気配が漂ってるから伝わるんだなあ。刀城言耶を語り手にする、という手もあったと思うけど、区別なさってるんですね。元編集者という肩書きがかなり生かされているのでは。

あと、な・なんと、ラストに「死相学探偵」ものが収録されています(笑)。笑いの要素はなかったけど、1番オチが冴えてる気がしました。死相が視えるというこの設定だからこその真相だなあ、と。しかも、表題作とつながっている~~~~~~!!!これはウマい^^
この作品をお試しに読んでみて、気に入ったら本編もどうぞ^^。

                             (291P/読書所要時間3:00)