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幻竜苑事件  (ねこ3.6匹)

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太田忠司著。創元推理文庫

時は3月。探偵志願の少年・狩野俊介の再訪を待つ野上の事務所に、謎の少女が現われ、両親を殺した犯人を捕まえてくれと依頼した。不審な大金を携える少女の無礼な態度に腹を立て、冷たく追い返したものの、野上は少女のことが気にかかっていた。彼女の残した落書きを手がかりに俊介と調査を始めたところ、10年前に起きた焼死事件が浮上する。少年探偵・狩野俊介シリーズ第二弾。 (裏表紙引用)


予告通り、早くも第2弾が創元で文庫化(るん♪^^)。
いやあ、やっぱいいですね~~俊介君。子供なんだけど、天才っていうね。それだけなら他にいくらでも類似の作品がありそうですが、この子の場合はやっぱり完全に子供、なんですよね。大人ぶるわけでもないし、小さな身体に持て余す様々な感情はやっぱり達観したものではなく、子供のものなんです。
その彼が野上さんと共に成長して行く様がシリーズの魅力と言っても過言ではないでしょう。

今回は、野上さんと俊介君の関係に大きな変化があります。
書類上の意味でも、精神的なものでも。大人の野上さんが、彼に触発されてカラ回りしたり、一緒に新しいのを見つめたりと目が離せません。同時に、アキちゃんとの喧嘩も見ものですね^^この子絶対敵にまわしちゃダメだよ野上さん^^;

で、ミステリとしてですが、今回は前作とはまた違った視点のもので良かったと思います。犯罪方法としては大仰で悪魔的なのですが、一発芸である前作と比べると今回はかなり気の長い、だからこそ狡猾で恐ろしい犯罪者が描けていると思いますね。特に、ある人物の氷のような心に触れさせられた俊介君はかなりダメージが深いのではないでしょうか。

そんな中救われるのは、本書で注目度が上がったに違いない脇役・池田刑事です。子供に好かれるキャラクターという事ですが、彼の意外な境遇と優しさ、刑事としてのカンの良さが本書で爆発。今後要注目の人物となりました(萌え^^)。

                             (294P/読書所要時間2:30)