ドン・ウィンズロウ著。創元推理文庫。
無性に子どもを欲しがるカレンに戸惑う、結婚間近のニールに、またも仕事が!ラスヴェガスから帰ろうとしない八十六歳の爺さんを連れ戻せという。しかし、このご老体、なかなか手強く、まんまとニールの手をすり抜けてしまう。そして事態は奇妙な展開を見せた。爺さんが乗って逃げた車が空になって発見されたのだ。砂漠でニールを待ち受けていたものは何か?シリーズ最終巻。 (裏表紙引用)
大好きなニール・ケアリーシリーズも遂に第5巻にして最終巻。
4作目のあまりの変貌ぶりにテンションが下がったのは自分だけではなかったと記憶しますが、この最終巻も4作目のコミカルタッチに拍車がかかった模様。番外編と解釈した方がいいという世評もございますが、コミカルに徹しているわけでもなく、ニールの生い立ちやトラウマは変わる事なく描かれているわけで、笑おうにも笑いにくいアンバランスな作風が気まずい。
構成も、語り手がころころ変わるし書簡が入るし上手くはない。
カレンが子供を欲しがるという展開は面白いし、元コメディアンの爺さんとニールの会話もかなり面白いのだが。。父性をテーマにしているだけに、グレアムの登場する場面があまりにもあっさりとしていたのも。。ニールの変化も最終巻とは思えない中途半端さだし、カレンとのあのラストも納得したくなーい!
うーん。。。まあいいや。。
ところで、ウィンズロウはこのシリーズを再開したいという事だそうで。何年も前の解説情報なので、どうなっているのやらあまり期待は出来ませんが。再開は嬉しいけど、初期の気怠さと社会的背景を交えた重たい作風じゃないと出ても半分くらいしか嬉しくないな。もう自分の愛したニールはどこにもいないんだろうか。。
(253P/読書所要時間1:30)