すべてが猫になる

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白昼夢  (ねこ3.5匹)

晩春の午後、ある場末の大通りをあてなく歩いていた私は、道ばたで大勢の大人子供が半円を描いて立ち止まり、ゲラゲラと笑っている場面に立ち会った。何やら、「妻を殺した」という演説者の口上に聴き入っているようだが・・・。(短編)

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わずか数ページの、今で言うショートショート
作風は完全な怪奇乱歩で、後の『人間椅子』や『芋虫』に繋がりそうな、グロテスクなお話。何がグロテスクかと言って、その肝となる展示物の描写もさることながら、それに気付いていないのかそうでなく平然と受け入れているのかが曖昧なところではないか。
新青年』に掲載され、好評だったという。この後しばらくはこの路線で傑作が続いたのは、この小粒な作品が地味に成功した事によるものか。。。個人的にはまだ推したい作品ではない。読める機会も少ないようだ↓。

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春陽文庫江戸川乱歩文庫』第2巻「パノラマ島奇談』収録。
光文社文庫江戸川乱歩全集』第1巻「屋根裏の散歩者」収録。