すべてが猫になる

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少年少女飛行倶楽部  (ねこ4.4匹)

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加納朋子著。文藝春秋

中学1年生の海月が幼馴染の樹絵里に誘われて入部したのは「飛行クラブ」。メンバーは2年生の変人部長・神、通称カミサマをはじめとするワケあり部員たち。果たして、空に舞い上がれるか!?私たちは空が飛べる。きっと飛べる。かならず飛べる。空とぶ青春小説。 (あらすじ引用)


加納朋子さん新刊^^
べるさん&よもさんの所で大好評だった本書。予約数に対して蔵書が少なかったのと、あの二人が揃って絶賛するなら間違いないだろうと”えいやー!”と買ってしまいました。加納さん好きだしね^^

YAという事でしたが、ものすごく普通に感動しまくってしまいました。
まずキャラがいい。全員いい。平凡で取り柄はないけど皆の人気者・くーちゃんと、可愛いワガママキャラの樹絵里。樹絵里の憧れ、野球部と飛行部を掛け持ちしている中村先輩。偏屈王、いつも部室で本を読んでいるだけの神(通称カミサマ^^;)。両親の夢を負担に感じ野球部から転部して来た肥満児の球児。高い所から何度も落ちている不思議ちゃんのるなるな。ついでに飛行部ではないけど嫌われ者のイライザ。
ヘンな名前倶楽部と改名したいほどの奇名の集まり。

個人的に好きだったのは、主人公のくーちゃん。物語で言うところのステロタイプないい子ちゃんなのだけど、その実結構気が強い。真面目すぎて面倒見が良くて、ちょっと八方美人かな。決められた事は率先して行動する彼女、とても周りの事を良く見ています。教師にキレて「逃げるな!」とか言っちゃいますからね^^;
その相棒・カミサマもかなりいいキャラしてます。始めは凄く感じが悪かったのですが、人の言う事を何でも真に受けるという堅物なのか天然なのかわからない能力を発揮し(笑)、以来大ファンに^^。

というか、男子キャラ全員いい。かっこいい中村先輩はもちろん、「あ、僕、もう来てます」が名台詞の(笑)球児君も気に入ったなあ。ご両親とのエピソードにも感激しましたしね。親って子供が思うほど頭でっかちじゃなかったりする。
イライザはねえ、今はあんなんだけど、大人になるの早いと思うよ^^
ゆきあやとしては、るなるなだけはちょっと理解不能だったかな。嫌いではなかったけど、同じクラスだったら絶対友達になってない^^;めんどくさそうなんだもん。。イライザの方が正面切って喧嘩出来る気がする。

さて、どういうお話かと言うとまず”飛行倶楽部”ってなんじゃらほい、ってとこ。漠然と”飛ぶ”と言われても、何かのレトリックなのかなー、と思ってしまいます。そこはまあ読んでいただければわかるので端折りますが。結局、人間飛ぶしかないんですよね。何かを始めるにも終わらせるにも、大人になればなるほどその翼が重くなるわけで。大人になって、一度も飛んだ事がない翼にしてしまうなら、子供のうちに一度本当に飛んでみるべきなんです。忘れないために。思い出せるように。
彼らが出会ってから、感動の終章まで。少なくとも自分は、”この本、飛んだ”と実感出来ました。
素晴らしい作品、お薦めです。

                             (321P/読書所要時間2:00)
                             ↑kofuさん、こんなんでいいかな。