すべてが猫になる

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GOTH (ねこ4.2匹)

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角川文庫。

単行本で「GOTH ーリストカット事件ー」として発行されていたものです。
今回、角川文庫で「夜の章」「僕の章」として二分冊発行されました。(あぶなかった。もう少しで
単行本注文するところだった。)

連作短編集です。
「夜の章」には、「暗黒系」「犬」「記憶」の3作品、「僕の章」には、「リストカット事件」「土」「声」の3作品が収録されています。

クラスで浮いた存在の森野夜を中心に、色んな事件が発生します。バラバラ死体、手切断事件、動物虐待、少女誘拐、、、、、。
これはホラーらしいホラーというか、今までの乙さんの作品ではかなりグロ描写が濃い、です。ちょっとびっくりしました。
色々な事件を題材にしているとはいえ、ただ推理して犯人は誰か?というストーリーにならないところが乙さんらしいですね。一般人と交われない、異常な心理を生まれつき持ってしまった登場人物たちの
心理や、森野夜という少女の謎、に重点が置かれています。

特に、「僕の章」収録の「土」「声」が素晴らしかった。土に埋められなぶり殺される恐怖、自分が殺されることを知り、テープにそのリアルな心情を録音するなどの筆致は、その発想のすごさもさることながら、感服。

衰えを見せずまだまだ色んな作品が描ける作家だと思いました。