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廃墟建築士  (ねこ3.5匹)

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三崎亜記著。集英社

ありえないことなど、ありえない。不思議なことも不思議じゃなくなる、この日常世界へようこそ。七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する4編収録の最新作。 (裏表紙引用)


むむぅ。。。
一応読破はしております、三崎さん。どちらかと言うと、というよりきっぱりと短編集の方に力を感じる作家さんでしたが、今回のコレも短編集でありながら、置いてけぼり感が強かった作品でした。記事にするのやめようかな、と思ったぐらい。ファンの方にはあまり気持ちのいい記事ではないのでご了承のうえお読み下さいまし。

『七階闘争』
七階の犯罪率が高いという統計を元に、すべてのマンションやビルから七階を撤廃する議案が市で持ち上がった、というお話。発想が面白いですね、といういつもの自分っぽい事はあまり思えなかった^^;七階住人であり、撤廃反対運動に参加している女性の人物造形があまりピンと来なかったのが大きな理由かもしれない。いえ、こういうジャンル嫌いじゃないんですよ本来。だけど、なんだか表現が有耶無耶過ぎるというのか。。うーん。まとめ方は上手いと思うんですけどね。

『廃墟建築士
タイトルのままのお話なのです。廃墟を建築するのです。
なんとなく、無理矢理想像するとブームに飛びつく日本人を揶揄してるのかなあ、と思わなくもなし。
廃墟に対するロマンみたいなものは先ほどの「七階」より説得力があります。あんま深く考えちゃいけないんだろうけど、脳みそを使わせるような理論や専門的に語るくだりが出て来るので辛い。

『図書館』
正直言いまして、この作品が入ってなかったらかなり自分はやばかったです^^;本好きのツボをくすぐるお話です。本を擬人化しているお話で、発想自体は三崎さんオリジナルではないようですがなかなか良かったです。ただ、本のジャンルによる飛び方はそのまんま過ぎるかな。。ですが、はばたく姿を読んで普通に「傷む傷む!」と思ってしまった自分は読み手として冷めすぎでしょうか。。

『蔵守』
一番入って行けなかったお話かも。
喋ってるのが人間なのかなんなのかわかりづらかったですし、馴染みがなさすぎて。。
なんとなくわかりました。不条理なら不条理で、幻想なら幻想で、三崎さんの描くキャラクターは喋りが真剣過ぎて、白けてしまうのです。真面目に言えば言うほどこの人大丈夫かな、と思ってしまう。


すいません、読んでて不快でもなんでもないのですが、まったく褒めてません。三崎さんの長編を読んでる時と似たような気持ちになってしまいました。これなら自分はSFとかファンタジーものの翻訳物読んでる方がいいかなあ、って^^;もう新作が短編集でも手を出さないかも。三崎さんの世界を上手に消化出来ている読者の方が羨ましいです。