すべてが猫になる

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軽井沢マジック  (ねこ2.8匹)

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二階堂黎人著。講談社文庫。

ファッションもクルマも超一流のイケメンなのに、なぜか周囲から変人扱い。そんな上司の水乃サトルをひそかに慕う美並由加理は、出張帰りに軽井沢で途中下車しようと誘われてドキドキ。ところが二人が降りた特急から血塗れの死体が見つかって…。名探偵水乃サトルが誕生した記念すべき長編ミステリー。 (裏表紙引用)

昔100円で徳間文庫の方を買っていたのだけど、あまりにも汚かったのと講談社文庫からこのたび発売されたのを機に、買い直してみましたよ。

二階堂黎人氏が二階堂蘭子と双肩を並べる素敵なシリーズキャラクターを生み出した!・・と言いたいところですが、人気も魅力も微妙なところの水乃サトル。確かに表紙だけ見てもイケメンです。仕事ではそれなりのポジションにつき、家柄も良さそう。頭脳は明晰でファッションセンスもかなりグッド。しかし、その風貌が逆に哀れになるほどに周囲の人間からは変人の烙印を押されている。そんな中、サトルの同僚の由加理だけは彼に夢中という設定。お嬢様ワトスン、というほどたいした働きもしていない彼女の方が変人に見えてしまったのは自分だけではないでしょう。とにかく所々に挟まれる彼女のモノローグが鼻につくのです。

さて、解説でもあるように(霧舎さん久しぶり^^)、このシリーズは二階堂氏が”ガチガチの本格しか描けないと思うなよ”という意志のもとに描かれたものという推測があるよう。霧舎さんは西村京太郎ではなく内村康夫氏を引き合いに出されていますが、まあ彼の素性を知るなり態度が豹変する刑事連中という設定からして合っていると思わなくもなし。しかし、どうしても作風が無理矢理なコメディとなっているので個人的には中途半端感しか感じられなかったかも。

肝心のミステリ部分はどうだったかな。
かなりトリックに無理があります。あまりリアリティなどには言及しないタイプの自分ですら、間に合う間に合わないの次元ではないところでツッコミどころがあるほどの。期待していた”えぐり取られていた眼球”の謎についてはインパクトはあるものの、心理面でどうしても納得がいかないし。
感心した部分がなかったわけではなくて、屋根の上の死体や人物関係の入り組み方は面白味があったかな、とは思いますね。
別に駄作ではないと思うし、それなりに楽しく読めたんです。けど、ツッコみたいタイプの作品なんだよな。。もちろんシリーズ続けて読みます。