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東京ベイエリア分署 二重標的  (ねこ3.6匹)

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今野敏著。ハルキ文庫。

東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補のもとに、殺人事件の通報が入った。若者ばかりが集まるライブハウスで、30代のホステスが殺されたという。女はなぜ場違いと思える場所にいたのか?疑問を感じた安積は、事件を追ううちに同時刻に発生した別の事件との接点を発見。繋がりを見せた二つの殺人標的が、安積たちを執念の捜査へと駆り立てる?。ベイエリア分署シリーズ第一弾。(裏表紙引用)


最近読む警察小説はなかなか肌に合うかも。ということで、「隠蔽捜査」で一目置き始めた今野敏さんのTVドラマ化シリーズに挑戦。先日よもさんにさんざんジュン○堂をぐるぐる廻らせて携帯で調査をしてもらった挙句売り切れていた本書。その節はお世話になりました^^;

280ページと短めですが、なかなか内容は濃かったです。期待していた安積さんのキャラクターも理想通り。妻と娘に去られてしまい、捜査で走り回って髪もスーツもぼろぼろ。だけど部下や同僚への仲間意識を強く持ち、分野外の捜査員への信頼感は忘れずに、組織からはみ出す事もなくそれでも犯罪を憎み不正を許さない心を持っている。過剰に出しゃばる事もない彼は、人間らしく残業代を気にする内面も垣間見せる。。。
最近の警察小説の傾向として、組織としての警察、一人の人間としての警察官としての視点を描いた佳作と言えると思います。ミステリ的に凄い点は正直ないのですが、安積達が捜査の中ほろりと見せる温かさや人間関係の機微など、見どころがいっぱい。地味ながらも時折飛び出すユーモアやキャラクターの意外な一面性が物語を引き立てていると言っていいでしょう。

続編もいずれ読みます^^
ところで、ベイエリア分署と別で「東京湾臨海署安積班」というシリーズがあるみたいなのですが。。これは一体(興味しんしん)。