すべてが猫になる

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太陽の坐る場所  (ねこ3.7匹)

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辻村深月著。文藝春秋

高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、高校時代の「幼く、罪深かった」出来事?。よみがえる「教室の悪意」。28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。辻村深月の新境地。 (あらすじ引用)


もう時期的に新刊とは呼びにくいかもしれないけど、辻村さんの最新作です。辻村さんと言えばノベルスのイメージ(しかも上下巻)が強いのですが、「ロードムービー」以降単行本で発行されてますね。
これからもこんな感じがいいな。読者も広がるだろうし^^

さて、感想ですが。
辻村さんらしく、女性の悪意というか本音というか、そこのところを細部までとことん描き切った作品となっております。章ごとに語り手が変わるのですが、タイプがそれぞれ大きく違うのにどの女性も腹黒い。。正直言いまして不快な部分が多々ある読書でした。他人より出世していたい自分、他人よりいい男を掴まえたい自分、他人より美しくいたい自分、共通しているのは”幸福”であるというのに、嫉妬心や見栄で頭いっぱいの状態でそんなものを手に入れられるはずはありません。

何が不快かと言うと、個人的には彼女達の心理が”わからんでもない”からです。さすがにここまでねちっこくはないつもりですが、それは自分が幸運にも”これだ!”という趣味や特技をいくつか持ち合わせているからでしょう。彼女達も演劇をやっていたり、デザイン会社に勤めていたりとそれなりに平凡でない人生を歩んでいるように見受けられるのですが。。ちょっとナゾ。
何がナゾかって、高校時代のコンプレックスというか競争心とか柵を、10年経った今でも忘れていないキャラクターばかりだと言う事。。あの事件やキョウコさんのキャラは強烈なので残っていて当然でしょうが、これって普通なんでしょうか?1年置きとか半年置きに同窓会とか。。クラスから有名人が出た、という特別な事が起きているとは言え、なんかこういうグループ交際感覚が自分にまったくないのでツラかった。

とか言いながら面白かったわけですが。ここからネタバレしますので、未読の方はご注意下さい↓















キョウコが二人いた、という驚愕の仕掛けがあり、もちろん大変びっくりしました。が。
そこから急につまらなくなってしまったんですよね~~~~~~~^^;;;;;;;
たしかに高度なトリックだな、と思うのですが(だから名前じゃなく出席番号を章タイトルにしてたのか、とか)、物語を純粋に楽しく読んでいたので、あの時の誰は実は誰で、とかそういう仕掛けの伏線を拾わなきゃいけなくなるでしょう。。叙述なのでストーリー自体には影響はないわけだし、正直自分は辻村さんにそういうトリックは求めていません。ミステリにしなくても、充分面白いわけだし、必要を感じない。こだわりをお持ちなのかもしれませんが、この作品に関しては強く失望を感じました。