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クリスマス・プレゼント/Twisted (ねこ4匹)

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ジェフリー・ディーヴァー著。文春文庫。

スーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法、オタク少年の逆襲譚、未亡人と詐欺師の騙しあい、釣り好きのエリートの秘密の釣果、有閑マダム相手の精神分析医の野望など、ディーヴァー度が凝縮されたミステリ16作品。リンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場する「クリスマス・プレゼント」は書き下ろし。 (裏表紙引用)


ジェフリー・ディーヴァーいっぱい買って来ました。とりあえずリンカーン・ライム関係を順番にということで、まずはライムシリーズが1編だけ入っているという16編収録の短編集から(^^;)。
「16のどんでん返し!(帯)」という事で、楽しみ楽しみ。
長編と短編、どちらにも長けている数少ない作家の一人として紹介されておりましたが、果てさてそれは読んでみてから。という訳でとりかかりましたが、こぃつぁすげぇや。駄作なし、同じパターンなし、ちゃんと全部どんでん返る秀作がいっぱい。

好きだった作品がかなり多かったので、一つずつ簡単に。

『ジョナサンがいない』 ★★
少しアンフェアかな、と思わなくもないですが「なるほど、こういうどんでん返しか」と作品集の開幕を告げられるような作品。

ウィークエンダー』 ★★★
ちょっと悪党の方が可哀想になってしまう作風がディーヴァーには多いかもしれない。

『サービス料として』 ★★
悪人しか出て来ません;;人と人との騙し合いがディーヴァーはお得意かも。

『ビューティフル』 ★★★★
美しすぎる事が悩みになる人生もある。彼女が取った手段はあまりにも予想外、だけど「外見の美醜と人生の充実とは無関係」だと言い切れないこの描き方、深イイ~。

『身代わり』 ★★
配偶者を憎む、というケースが多いですね。機会に恵まれてもセンスがないとダメ。根っからの悪人じゃないから騙される、失敗する、という考え方は自分は出来ない。

『見解』 ★★★
はっはっは、ちょっとスカッとしてしまいました。警官になっても嫌な奴は嫌な奴のまま。正義と悪が入れ替わるかのような展開、どんでん返しの醍醐味ですね。

『三角関係』 ★★★★★
これは素晴らしいトリックでしたね。すっかり騙されてしまいました。愛には色んな形があるのよ。

『この世はすべてひとつの舞台』 ★★★★
シェイクスピアが登場!復讐劇なのですが、江戸時代の日本みたいな空気を感じる作品でした^^;
それにしてもディーヴァーは引き出しをいくつもお持ちで。

『釣り日和』 ★★
これはあんまり好きじゃない。テクニック的に劣ってる作品ではないけど、どんでん返しの方向性が望んでるものと違う。

ノクターン』 ★★
時価五十万ドルはくだらないストラディヴァリウスを盗まれた男。。この結末は一体どうかな^^;
あんま賛成出来ない解決法だったのだけど。。

『被包含犯罪』 ★★
狡猾な犯罪者を裁判で負かすにはどうすればいいか。とりあえずのサプライズ的な解決なのだけど、個人的にはすっきりしないんだわあ。もっと嘘っぽいぐらい派手にやっちゃえばいいのに。

『宛名のないカード』 ★★★
不倫を疑われた妻。きっかけは、メッセージのないクリスマスカードだった。。そもそもこの解釈があまりピンと来ない。だけど思い込んだら一直線、な夫が哀れ。さらにもう一回どんでん返しがあると面白かった。

『クリスマス・プレゼント』 ★★★★★
出たーーーーーー!!!リンカーン・ライムシリーズ!!2行目からいきなりロン・セリットーが登場です!コーフン!しかしその後、ロンに恋人がいるという事実が判明でしょんぼり。。。
サックスもライムもトムも元気です^^ライムの車椅子にリースが付けられて怒り狂うライムがかわいい。。「家は飾ってもかまわない。私は飾ってもらわなくてけっこう。」だって^^;;
さ、さて、お話について。単なる短編用に力を抜いた行方不明事件かと思ってゆる~く読んでいたんですが。。後半からの展開が凄い!短編でも長編の時と変わらない濃密度、複雑さがありドラマがあり、大満足でした!

『超越した愛』 ★★
タイトルが皮肉ですね。仲を認められないカップルが取った最終手段とは。。こういうのを読んでいるとますます人の心理ってわからなくなりますね。異常さとの境界線を知りたい。

『パインクリークの未亡人』 ★★★
どんでん返りすぎな構成ですが、騙し合いにつぐ騙し合いがスリル満点。頭脳戦でしょうか。しかし、もっと頭のいい人がいたら、、イタチごっこになりそうな。

『ひざまずく兵士』 ★★★
一方通行の愛情、というのがラストでは違った意味を持って現われて来ます。真実はひとつ。


長くなりました。。
お薦めは「クリスマス・プレゼント」と「三角関係」「この世はすべてひとつの舞台」かな^^。
どんでん返し、という括りの中で、バラエティに富んだ作品集となっております。帯の通り、自分は16回びっくりしました。ディーヴァーは長編しか読んだ事がない、という方も試しにいかがでしょう。長編と同じくらいの満足度と溜息が得られることでしょう^^